似合う ページ3
「もう、光!」
光があまりに熱心にまなかの肩を揺らすものだから、流石にちさきのストップが間に入る。
「あ〜あ」
「朝からテンション高すぎだよ」
傍観者を貫くAと要は呆れ顔だ。味方無しのこの状況では、光の苛立ちは増していくばかりだろう。
「や、やっぱ着替えてくるよっ……!」
「最初からそうしろっての!」
「もう怒鳴っちゃやだよ〜……」
まなかは制服を着替えるべく、いち早く帰路へと走り出した。
「行こうぜ」
「でも………」
「いいから!」
そのまなかの背中を見届けもせず、光は学校へ向かおうと歩き始める。
「はあ………仕方ないなあ光は」
「………」
光とすぐ肩を並べ歩き始めたA。そして、そのAとは対象的に、ちさきと要の態度からは納得のいかない感情が窺えた。転校初日にして、雲行きは怪しい。
「………あ、ちょっと思ってたんだけど。濱中の制服、まなかが着たらすっごく可愛いと思うんだよね」
そう言ってAが笑みを向けた先に光はいなかった。
「ッッッッ………!!」
「っくっ……ふふ……」
Aが不思議に思い後ろを向いてみると、光は盛大に転けていた。海の中だからそこまで痛くないだろうと心配はしていない。ちなみに、それを後ろで目撃した要は思わず吹き出していたり。
「ッAおまえッ………!!喧嘩売ってんのか!!」
「はい怒らない怒らない。でもジョーダンじゃないよ?まなかだけじゃない。ちさきも、光も。要も………皆きっと似合うだろうなあ」
爽やかな波路中学の制服と見比べてみて、美濱中学の制服は上品さがよく目立つ。そんな美濱中学の制服を着た幼馴染たちを思い浮かべて……「嘘。やっぱり皆は波中の方がいい」そう言ってAは小さく笑った。
「………分かってんじゃん」
「うん、だからありがとね光。なんだかんだAはこっちのが好きだからさ」
(「…………ああでも!濱中の制服着た光に『馬子にも衣装』って言いたかったな〜!ちょっと悔しい!」)
(「おま、やっぱり喧嘩売ってんじゃねぇか!」)
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湊(プロフ) - 続きが気になります。更新待ってます。 (1月20日 22時) (レス) id: 080f4a0e49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:パスカル | 作成日時:2021年8月11日 15時