セカイの何処かにキミが居る【凪のあすから】 (ページ13)

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痛む足……？ページ13

「まなか、足傷んでない？」
「うん、大丈夫みたい」

放課後にまでなると、まなかは調子を取り戻していたように思える。Aが問うと、まなかは笑顔で頷いていた。

「まなか、A、かえろっか」
「うん！……あれ、ひぃくんと要は？」
「男子木工だったから、教室の前で待ってよ」
「うん！」

鞄に教科書を詰めるまなかを待ちながら、ちさきとAは笑談する。慣れなさそうに片足を揺らすまなかの姿を見て、ちさきがAの耳元へと口を寄せた。

「足、まだ痛むのかな？」
「あー、さっき聞いてみたけど、大丈夫だとは話してたよ。心配だから荷物持ってあげよっかな」
「もう、Aも無理しちゃ駄目だからね」
「はいはい、ちさきお姉ちゃん」
「もう〜……」
「ほら、まなか鞄貸して」
「あ、ありがとう………っ！？」
「ねえ」

鞄はAの手の中に収まることなく、ゆっくりと床に落ちていった。Aとちさきの視界から、まなかが遠ざかる。

「え、え〜〜〜〜〜っ？？」

複数人の女子生徒によって連れられたまなかは、窓側で腕を光にかざされた。太陽に呼応するよう、エナはきらめく。

「見て！聞いたとおりだほら！」
「ピカピカ光ってる」
「ラップしたコンビニ弁当みたい」

「ちょっと…….！」

まなかを助けようとちさきが声を上げるが届かない。

「人間じゃないんだやっぱり」

その囁きは悪魔に等しい。見逃さないAの手が、発言元の女子生徒の腕を強くつかみあげた。

「痛っ……！痛い！」
「ねえ、人間じゃないって何？」
「離してよ！」

「何やってんの？」

教室は、しんとした。

まなかを釣ったあの少年だった。凛として冴えた低い声に、Aは突き刺されるようだった。しかし女子生徒の腕を掴み、その目を見据えたままでいると、まなかが人の輪から逃げ出した。転げそうになり、彼女の右膝は、椅子へと衝突する。今朝に聞いた──光曰く、オナラ──魚の異音が虚しくも響き渡ってしまったのだった。