検索窓
今日:13 hit、昨日:5 hit、合計:3,527 hit

1話 海と大地のまんなかに ページ1




個室には、鼻歌混じりに軽やかな一回転を披露する少女が一人。その動きに合わせて短いスカートはひらり踊る。少女は鏡越しに自身の姿を見つめては、微笑を顔に作りあげた。そして少女は後に、そのまま軽快な足取りで家を飛び出したのだった。

「いってきまーす」

その声は少しばかりか跳ね上がっていたように思える。街を駆ける少女には緊張の色が見えた。固く閉ざされた口元。バクバクと鼓動する心臓。なんてったって今日は少女──苗字Aと、彼女の幼馴染たちの転校生活初日である。


──かつて、全ての人間は海の中で呼吸をし、生活を営んでいたという。しかし、ある時を境として陸で生きることを選んだ人達が現れ、やがて人の世界は海と陸に分かれた。

海の中に存在している村落、汐鹿生。そこがAたちの生きる世界だ。

「うっ………今日、塩っぽいな〜?」

海中特有の塩分濃度の差に首を傾げていると、先程のAの独り言に反応するかのような笑い声が耳を掠めた。

「………あ」

いつの間にか進んでいた足元の先に目を向けると、馴染みのある顔がそこに居た。

「要!それにちさきも。おはよ」
「おはよう、A」

高くに結んだサイドテールがチャームポイントのちさき。

「おはよう。あ、ちなみに塩っぽいの当たり。また予報見てなかったんだ」

それと、整った中性的な顔立ちを持つ要の、二人だ。

「あはは、どうせ誰かしら予報見てるだろうから聞けばいいかなって……」
「Aらしいね」

どちらとも大人びた性格だけれど、Aと年齢の変わらない幼馴染たちである。

波中魂→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (8 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
13人がお気に入り
設定タグ:凪のあすから
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - 続きが気になります。更新待ってます。 (1月20日 22時) (レス) id: 080f4a0e49 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:パスカル | 作成日時:2021年8月11日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。