プロローグ ページ1
屋敷内は緊迫した空気に包まれている
何故なら、安部晴明の恐らく最後になるであろう孫が今
生まれようとしているからだ
その日は、成親や昌親も生まれてくる子と母が心配で陰陽寮を定時よりも早くに帰ってきた
二人が屋敷に帰ってきた時にはもう、赤子は生まれていた
迎えに出てくれた神将から聞いたが、母は相当な難産だったようで祖父と父が快癒の呪いを唱えている声が玄関まで聞こえてくる
そこでふと、二人は思った
成親「そういえば、赤子は何処にいるん
だ?」
昌親「そういえば、そうですね。神将の
誰かが見ているのでしょうか?」
成親「そうだとしたら、天一とかか?」
朱雀「嫌、天一じゃない。」
昌親「え? じゃあ天后か太裳?」
朱雀「…違う。」
成親「なら、勾陳か天空か?お爺様もす
すごい人選をしたものだな。嫌、神だから神選か。」
勾陳「私達でもないぞ?」
成親 昌親「なら、いったい誰が…!?」
その時屋敷の一番奥の部屋から強い神気を感じた。
成親「どうしてあいつを、赤子の側にお
いたんだ!!」
そう言った途端に、二人は赤子の元に駆け出した
ーーーー少し前に話は遡る
赤子が産まれて直ぐに晴明は紅蓮を喚んだ
紅蓮は行く気など無かったが晴明の命には逆らえない
仕方なく人界へ行くと、晴明が
紅蓮は子供が嫌いだ
まして赤子など、近くに寄るだけで紅蓮の神気を感じとって火がついたように泣き出す
そして泣きつかれて熱を出すのだ
なのに、晴明は子が産まれると毎回自分を喚ぶのだ
晴明「少し露木の様子を見てくるから、
この子達を見ていてくれ」
紅蓮「まて!!それなら俺じゃなく、天
一や朱雀でも良いだろう!」
晴明「お前に頼みたいんじゃ。それに…泣
よく寝ている。」
紅蓮は晴明に言われて始めて赤子が泣いてない事に気付いた。
晴明「名前は昌浩とAだ。」
そう言うと、晴明は部屋を出ていった
ーーーーその直後に成親と昌親が来た
部屋に入って直ぐに二人は驚いた
赤子が騰陀を前にして穏やかな寝息を立てていたのだ
そして更に、騰陀の影に隠れて見えなかったが赤子がもう一人いた
双子だった
双子は不吉だと言われていることは二人とも知っていた
双子が生まれたときの対処は里子に出すか殺すかのどちらかだ
だが、晴明も紅蓮達十二神将も成親達も急いで決めなければならないことではないと考えていた
………………そう、あんなことが起きなければ
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作者名:シャボン | 作成日時:2018年5月29日 15時