127話 桜散るその瞬間を ページ33
貴「…ん」
目を開けて最初に飛び込んできたのは、すごい形相で私の顔を除き混む土蜘蛛と大ガマの顔だった
貴「う、わぁ!?」
土蜘蛛「…」
大ガマ「……」
貴「なな、何してんのさ!」
私は顔を赤らめて二人を怒鳴る
あまりにも顔が近すぎたのだ
土蜘蛛「……」
大ガマ「……」
二人は私をじっと見つめたまま身動きひとつしない
私はそんな二人に不信感を覚えた
貴「…?土蜘蛛?大ガマ?」
二人の名前を呼ぶ
その時だった
気がつくと、私は空を見上げていた。
いや、正確に言うと大ガマに勢いよく抱きつかれ、その拍子に倒れたのだ
大ガマ「馬鹿野郎!!無茶しやがって!お前なんかっ…お前なんかっ……!」
貴「大ガマ…」
大ガマに押し倒されて行き場をなくした私の手を、土蜘蛛がそっと握った
土蜘蛛「…もう二度と、お主に名を呼ばれないと思っていた…」
貴「土蜘蛛…ごめんね」
私の眼から、大粒の涙がこぼれ落ちる。
それが安心からの涙なのか、二人への申し訳なさがとうとう最高峰に達しての涙なのか分からなかったが、なぜか涙が止まらなかった
・
・
・
貴「エンマ大王様、助けていただき本当にありがとうございます。この御恩はいつかお返しいたします」
エンマ「気にするな。女の…しかも妖怪になりたてのお前にばかり身体張らせちまったからな…」
あの後、土蜘蛛と大ガマから話を聞いた私はエンマ大王様の血によって助けられたことを知り、改めての自己紹介とお礼の言葉を送っていた
貴「いえ…私にもっと力があれば、このようなことには…」
エンマ「お前にはもう十分な力が備わったはずだ。己の必殺技をものにし、妖術の修練にも励んでいたと聞いた。あの羅刹の一部である危険な存在との信頼関係も築いたお前には、もう敵う奴などそういないだろう。…その力、誤らず使うんだな」
貴「っ……はい!」
エンマ大王様は最後にその言葉を残して、自分の屋敷へと戻っていった
貴「…あ」
エンマ大王様を見送ったあと、振り向くとそこには…
貴「…ねぇ、土蜘蛛、大ガマ」
土蜘蛛「なんだ」
大ガマ「ん?」
桜が、満開に咲き誇っていた
貴「…桜が、綺麗だよ」
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レミィドール - 途中途中、泣きながら読んでいました (2019年5月3日 0時) (レス) id: 104f8ae6d5 (このIDを非表示/違反報告)
ツクヨミ - 久しぶりに見ましたが、やっぱり最高です! (2018年12月21日 21時) (レス) id: 779ef83f8c (このIDを非表示/違反報告)
キリンロング - とても面白かったです〜(*≧∀≦*) (2018年7月6日 17時) (レス) id: 390c1ef0c5 (このIDを非表示/違反報告)
るーく - いえいえ!あの…!リクエストのことで…!土蜘蛛と大ガマ!以外でもいいですか?okでしたら…酒呑童子と…& 難蛇龍王がいいなと…思いまして…!どうですか? (2018年4月3日 18時) (レス) id: 63408e7496 (このIDを非表示/違反報告)
ナミ(プロフ) - るーくさん» 最後まで見てくださって本当にありがとうございました!るーくさんには本当元気もらいました!なにかリクエストあったら言ってください!作品にさせていただくかもしれません! (2018年3月30日 19時) (レス) id: 4558bdaa92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナミ | 作成日時:2018年1月8日 3時