120話 空虚な羅刹 ページ25
羅刹『我が寂しいだと…?抜かせ…!我は寂しくなどない!我は永遠に、孤独に生きてゆくのだ!その中に心寂しさなどないわ!』
羅刹が怒鳴り散らして私のひとことを否定する。…でも、私はそんな羅刹がやせ我慢をしているか、寂しさに気づいてないとしか思えなかった
貴「…本当?悪意をかき集めることしかできなくて、不死な存在って、それが一番空虚なんじゃないかな…?私は…貴方が自分の寂しい心に気づいてないだけだと思うの」
羅刹『黙れ!!貴様などに我の真の孤独がわかるはずあるまい…!我は誰も受け入れぬ!我は我しか信ずることが出来ぬ!!』
羅刹の悲痛の言葉が、草原に響く。
羅刹の孤独な悲しい気持ちが、痛いほど伝わってきた
貴「…大丈夫だよ。私の中にはもう既に、貴方の一部が居るから」
羅刹『……何?』
羅刹は私の言葉に反応する。それを見た私は、静かに目を閉じてシラと意識を交換した
シラside
シラ「………」
羅刹『…はっ、余計な感情を我に組み込んできた者ではないか…。こんな奴、我の一部とは言えぬわ』
羅刹は我を嘲笑った。
…そして羅刹の渦が微かに歪んだ
シラ『…もう己が負けたと自覚しているだろう?我を取り込もうとは思わぬ事だな』
羅刹『……言われなくともそのつもりだ』
羅刹は全てを諦めたような、力のない声を漏らした
羅刹『だが、抵抗するのをやめる気はない。我は誰かに封印されるような器ではないこと、貴様が一番よく知っているだろう…。見たところその娘に随分深入れしているようだな。その愚かな娘に我をその身に封印するなどの愚行を止めさせろ』
シラ「…それは出来ぬ相談だ」
我は即答で答えた。
愚行などではなかった。確かに羅刹をこの身に封印するなど無謀だ。死ぬかもしれぬ。
だが…羅刹を救いたい。
その心はAも我も同じなのだ…!
羅刹『…貴様、羅刹の一部にして慈悲の心を宿すとは何事…!貴様のその慈悲の心が、我を壊す。故に貴様を突き放した。なのにまだ慈悲を宿す気か…!?』
羅刹が最後の抵抗に、私に攻撃を仕掛けてくる
黒くて丸い球体の何かが、ゆっくり私に近づいてくる
我は、それを避けなかった
避けられなかった
シラ「っ……!」
痛い。球体が当たった場所が黒ずいていく
羅刹『!?なぜ避けぬ!!』
貴「さぁ…?何でだろうな」
我はジリジリと羅刹との距離を縮める
着々と近づいてくる我に、羅刹は後ずさった
羅刹『寄るな!!』
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レミィドール - 途中途中、泣きながら読んでいました (2019年5月3日 0時) (レス) id: 104f8ae6d5 (このIDを非表示/違反報告)
ツクヨミ - 久しぶりに見ましたが、やっぱり最高です! (2018年12月21日 21時) (レス) id: 779ef83f8c (このIDを非表示/違反報告)
キリンロング - とても面白かったです〜(*≧∀≦*) (2018年7月6日 17時) (レス) id: 390c1ef0c5 (このIDを非表示/違反報告)
るーく - いえいえ!あの…!リクエストのことで…!土蜘蛛と大ガマ!以外でもいいですか?okでしたら…酒呑童子と…& 難蛇龍王がいいなと…思いまして…!どうですか? (2018年4月3日 18時) (レス) id: 63408e7496 (このIDを非表示/違反報告)
ナミ(プロフ) - るーくさん» 最後まで見てくださって本当にありがとうございました!るーくさんには本当元気もらいました!なにかリクエストあったら言ってください!作品にさせていただくかもしれません! (2018年3月30日 19時) (レス) id: 4558bdaa92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナミ | 作成日時:2018年1月8日 3時