119話 死ぬより辛いこと ページ24
『…なかなか強力だったな。食らいたくない技だ』
貴「シラには間違ってもしないから大丈夫だよ…」
私は1度に大量の妖気を消費したせいか、尋常ではない疲労感に襲われていた。
足元がふらつき、視界が眩む。
遂に倒れそうになったとき
土蜘蛛「……っ」
大ガマ「っと……大丈夫か?」
貴「………あ…」
土蜘蛛と大ガマが同時に私を支えてくれていた
二人とも、傷の怪我だらけだ…
なのに、私を支えてくれてた
この二人には、もう傷ついてほしくない
貴「…大丈夫。まだ、やり残した事があるから…」
私はそう言うと、ふらつく足をなんとか言うことをきかせ、立ち上がった
そのまま羅刹の前へと歩んでいく
…シラ、私の考えてることわかるよね?
『…あぁ。だがよいのか?この方法はお主が死ぬかもしれないのだぞ?』
…うん。わかってるよ。
…でもね、私にとったらね。
自分が死ぬより、好きな人たちがずっと傷つき続けることの方がよっぽど辛いの。…だから…
『…お主の考えていることはよく分かった。ならば我も力を貸そう。…足りぬかもしれぬがな』
……ありがとう、シラ
シラと一時の会話をしていると、もう羅刹は目の前にいた
羅刹『…先程の技、見事なり。…だが貴様がどう足掻こうと、我は不死。永遠に妖怪と人間共に苦しみを与え、この世の空虚を知らしめてやる…!』
貴「うん。貴方ならそう言うと思ってたよ。…だからね、」
私は身体を広げ、言った
貴「貴方を私の中に封印します」
私の胸の辺りに穴があく。その穴は白い光を放ち、神々しく輝いている。
羅刹の黒い禍々しい渦が、どんどんその穴に吸い込まれていく
羅刹『なっ……!?何を愚かなことを!貴様の器で我を封印するなど片腹痛いわ!そのような事をすれば、貴様が我の力に喰い尽くされるのだぞ!?』
貴「わかってるよ。…でも、貴方は人を傷つける。しかも強いし、倒しても倒しても不死だから生き返る。…なら、閉じ込めるしかないじゃん…」
私は淡々と語りながらも、私の胸にあいた穴に無惨に吸い込まれていく羅刹を見て、悲しい気持ちになった
貴「一番可哀想なのは貴方だね…。羅刹…」
羅刹『…?何が言いたい……』
私の頬に、一粒の涙がこぼれ落ちる
貴「憎悪しか集まらない存在に生まれ、他の妖怪の憎悪を吸わないと生きていけない…。哀れで、可哀想…」
同情なんてしたくなかった。でも、悲しかった
貴「寂しかったよね…」
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レミィドール - 途中途中、泣きながら読んでいました (2019年5月3日 0時) (レス) id: 104f8ae6d5 (このIDを非表示/違反報告)
ツクヨミ - 久しぶりに見ましたが、やっぱり最高です! (2018年12月21日 21時) (レス) id: 779ef83f8c (このIDを非表示/違反報告)
キリンロング - とても面白かったです〜(*≧∀≦*) (2018年7月6日 17時) (レス) id: 390c1ef0c5 (このIDを非表示/違反報告)
るーく - いえいえ!あの…!リクエストのことで…!土蜘蛛と大ガマ!以外でもいいですか?okでしたら…酒呑童子と…& 難蛇龍王がいいなと…思いまして…!どうですか? (2018年4月3日 18時) (レス) id: 63408e7496 (このIDを非表示/違反報告)
ナミ(プロフ) - るーくさん» 最後まで見てくださって本当にありがとうございました!るーくさんには本当元気もらいました!なにかリクエストあったら言ってください!作品にさせていただくかもしれません! (2018年3月30日 19時) (レス) id: 4558bdaa92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナミ | 作成日時:2018年1月8日 3時