115話 全ての終末 ページ20
シラside
我は羅刹に必殺技の『死獣の爪痕』を食らわせた。…分裂した別の羅刹への効き目は増大だったが、これは本体。更に多くの力と憎悪を蓄えている。…勝てるかどうかはわからない。正直不安だ…
『…大丈夫』
シラ「っ……。A…?」
我の頭が不安に支配されたときだった。突如Aの落ち着いた安らぐ声が聞こえてきた
『シラはもう、独りじゃないから。私もいる。足りないのであれば私の力全て貴女に捧げる。貴女はもう十分苦しんだ。羅刹の呪縛から、もう解けていいはずなの…!』
Aの力強い声が、頭から身体へと響いた
その声はどこか温かく、陽の光を浴びることのなかった我には、眩しすぎた
…この感情が駄目だったのかもしれん
憎悪とは真逆の、人を想う感情を我は持っていた。…この感情が羅刹にとって邪魔だったのだろう。だから捨てられた。
…しかし羅刹よ。
貴様の捨てた力の元凶に殺される気分はどうだ?
皮肉だろう
我はAの中に入り、沢山の感情を得た。
喜怒哀楽、全て奴から学んだ。
…恋心もな
シラ「…我を切り捨てたこと、後悔しながら朽ちてゆけ」
ガリィイィイィイイィイイイ!!!
『グオォオオォオオオォォォオオォオオオ!!!』
Aからもらった記憶の欠片
小蛙と蜘蛛の力
Aの元の力
そして私の羅刹の力
全てが混ざりあい、我の爪先へと力が集う
その爪で羅刹を引っ掻き、引っ掻き、引っ掻きまわして
シラ「あああぁぁああぁああっ!!!」
まるで布を裂くかのように羅刹を真っ二つにした
渦だった羅刹は粒子になっていく
その粒子は天へと昇っていった
シラ「……終わった…のか……?」
大ガマ「……」
土蜘蛛「……」
羅刹を……倒した…んだな…?
我の胸には、達成感と妙な喪失感があった
…これでAとも、小蛙と蜘蛛とも永遠の別れだな…。
我は消える、そう覚悟した時だった
羅刹『憎たらしい奴め…貴様のその力、全て寄越すがいい。我の一部として全ての妖怪の憎悪を吸い続けてくれるわ…!!』
シラ「っ……!?」
馬鹿な、生きているだと!?
我が倒したはずでは……!?
羅刹『我は不死なる存在…。この世の全ての生き物が妬みや憎悪を抱えていれば、我は永遠に不滅だ…!』
絶望に染まった
羅刹の渦がどんどん我に近づいてくる
まるで我だけを飲み込もうとしているようだ
シラ「あ……あぁ………」
『シラ!!』
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レミィドール - 途中途中、泣きながら読んでいました (2019年5月3日 0時) (レス) id: 104f8ae6d5 (このIDを非表示/違反報告)
ツクヨミ - 久しぶりに見ましたが、やっぱり最高です! (2018年12月21日 21時) (レス) id: 779ef83f8c (このIDを非表示/違反報告)
キリンロング - とても面白かったです〜(*≧∀≦*) (2018年7月6日 17時) (レス) id: 390c1ef0c5 (このIDを非表示/違反報告)
るーく - いえいえ!あの…!リクエストのことで…!土蜘蛛と大ガマ!以外でもいいですか?okでしたら…酒呑童子と…& 難蛇龍王がいいなと…思いまして…!どうですか? (2018年4月3日 18時) (レス) id: 63408e7496 (このIDを非表示/違反報告)
ナミ(プロフ) - るーくさん» 最後まで見てくださって本当にありがとうございました!るーくさんには本当元気もらいました!なにかリクエストあったら言ってください!作品にさせていただくかもしれません! (2018年3月30日 19時) (レス) id: 4558bdaa92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナミ | 作成日時:2018年1月8日 3時