102話 悲しくて嬉しくて ページ7
貴「え…じゃあ、私が記憶を失ったのはシラのせいってこと？」
えんらえんら「そうです…」
えんらえんらさんは心底悲しい顔をした。
私は悟った。土蜘蛛や大ガマみたいに、記憶を失った私を受け入れてくれる方が少ないと。
多分えんらえんらさんは、私を受け入れてくれない。理由はないけど、えんらえんらさんの表情がそう言ってる気がした
貴「わかりました。教えてくれてありがとうございます。…あ、お饅頭おいしかったです」
私はお礼を言うと、えんらえんらさんの部屋から出ていった
部屋から出た私はその場に座り込む
えんらえんらさんは…前の私が好きであって、記憶を無くした今の私は……
えんらえんら「おやかた様！！」
貴「えっ」
急に襖を開けたえんらえんらさんは、そこに座り込んでいた私を呼び止めた
えんらえんら「おやかた様はおやかた様ですから！！…たとえ記憶を無くされたとしても、私はおやかた様をお慕いしております」
貴「……」
ここにも、私を見てくれて、受け入れてくれる人がいた…
感動に浸っていると、えんらえんらさんはモジモジして何が言いたげにしていた
えんらえんら「私はおやかた様の付き人ですからね〜。えんらえんら『さん』なんてやめてください！呼び捨てで結構ですよ〜」
貴「…うん、ありがとうえんらえんら」
私は自分の部屋を目指して歩いていった
その時だった
『貴様ばかり…』
ふいに、誰かの声が聞こえた
深い恨みを持ったように感じた、低い声だった
貴「…なに…？」
しばらくするとその声はより鮮明に、より恨みを持った声へと変わった
『なぜ貴様ばかりが想われる…？我は嫌われてばかりで、何もしておらぬのに悪者扱い…。我も貴様の一部のはず……！』
もしかして…シラ…？
頭の中で聞こえるその声は、どこか苦しそうにも聞こえた
『我も好きで貴様の中に住み着いているのではない…！羅刹が我を捨てたのだ！貴様の記憶が無くなったのも、我の力が勝手に蝕んでいると言うておろうが…！』
…シラ？貴女は何が言いたいの？
頭の中でこだまするシラの声。
その声はあまりに禍々しくて
…あまりに痛々しかった
『羅刹との戦いで奴らを救ったのは我だ！…なぜ貴様が心配される…？……我は…いつも独りだ』
貴「っ……シラ！！」
そして、シラの声は聞こえなくなった
貴「……あ、れ…？」
私は何故か、涙を流していた
シラ…貴女はいったい…？
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レミィドール - 途中途中、泣きながら読んでいました (2019年5月3日 0時) (
レス) id: 104f8ae6d5 (このIDを非表示/違反報告)
ツクヨミ - 久しぶりに見ましたが、やっぱり最高です! (2018年12月21日 21時) (レス) id: 779ef83f8c (このIDを非表示/違反報告)
キリンロング - とても面白かったです〜(*≧∀≦*) (2018年7月6日 17時) (レス) id: 390c1ef0c5 (このIDを非表示/違反報告)
るーく - いえいえ！あの…！リクエストのことで…！土蜘蛛と大ガマ！以外でもいいですか？okでしたら…酒呑童子と…& 難蛇龍王がいいなと…思いまして…！どうですか？ (2018年4月3日 18時) (レス) id: 63408e7496 (このIDを非表示/違反報告)
ナミ(プロフ) - るーくさん» 最後まで見てくださって本当にありがとうございました！るーくさんには本当元気もらいました！なにかリクエストあったら言ってください！作品にさせていただくかもしれません！ (2018年3月30日 19時) (レス) id: 4558bdaa92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナミ | 作成日時：2018年1月8日 3時
