その兎は恋をする【呪術廻戦】

らぶらぶらぶゆー ページ8

　
　
　
　
　
　
　
　

私にはその愛が分からないけれど。
君たちのそれは普通とはまた違う。
だからこそ強く惹かれる、焦がれる。
君の姿がより美しく見えてくるんだ。




『愛には正解が無いらしいから、なら私のこれも里香ちゃんへの愛でしょ？』



ひとつになりたいとは願っていない。
君には何にも変えられない少年がいる。
呪いをかけたそいつがいる。



『だから、勝手に愛させて欲しいなって。
それだけの話なんだ。わざわざごめんね。』



する、と。
乙骨憂太の耳裏から手のひらを伝わせて顎をすくっと上げる。
彼の体がびくんと跳ねる。
体温が上がっているのが手伝いで伝わる。




「ささささわるるるなぁぁぁぁ」




そんな彼が一気に顔を青ざめて真横から顕現した里香ちゃんの手を凝視する。
彼女の手は私の腕を掴んで爪をたてる。
血がどくどくと流れ、止まるという言葉を覚えない。




「り、里香ちゃん…駄目だよ……放して…！」


『なんで？』


「なんでって！このままじゃ鳴瀬さんが死んじゃうよ？！」



理解が出来ないな。
お互いの常識が、考えが、邪魔をする。



『愛じゃないか。君は里香ちゃんの愛を否定するのか？』


「………？」



目を見開く彼に私は微笑む。
口の端から血が伝った。



『彼女は私に、こうやって触れてくれている。
本当に嫌いなら、嫌悪しているのならば触れることすら躊躇い辞めるだろう。それをしないのは少なからず愛がある、そういう事だ。』



彼女の手が微かに震える。
その手を温めるように私は手を出した。




『ふふ、大丈夫だよ。私はあなたを殺さない。
あなたが何もしないならね。』




私の掲げる愛とは死だ。
死とは最高最上級の愛のカタチ。
それを疑ったことはない、あの日から私の中でそれは確定となったのだから。




『あなたの愛は何？里香ちゃん。
好きな人に寄り添い続けること？それとも共に死すること？』




何だっていいけど。
何だって受け入れる。それもまた愛。
愛に正解が無いと言ったのはあのイカレ教師。
教師は正しいらしいから私のこれは間違いじゃないだろう？




「はーい、そこまで。」




嫌だが聞きなれた声が上からして私は里香ちゃんの手の中から抜けて乙骨と距離をとる。
正確には五条悟と距離をとった、だが。



「Aはひとまず落ち着こう、それからまた仲良くしようね〜。」

『落ち着いてますけど。』



聞かなかったフリをするなよイカレ教師。


　
　
　
　
　
　

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