その兎は恋をする【呪術廻戦】

術式開示 ページ7

　
　
　
　
　
　
　
　
遥雷。
念糸を自らの先、例えば手の先から出してその糸に流れる微力な電気を利用して人やものを操る。



もちろん糸本来の使い方として脳を焼き切ることや首を落とすことも可能、事実、私はそれをする事が多い。



脳に干渉することが可能なので実際には怪我を負っていないのに血が流れている、と思わせる催眠が可能となる。


もしも敵に脳がないなら皮膚でもなんでも操る。
本来人形使いなどがやる方法の応用だ。



仲間にも自分にも使用可能でその使い方は術師の頭の見せどころ、と言ったところだろう。



つらつらと語り聞かせながら乙骨の体を操って徐々に徐々に呪いを切り刻んでいく。
刀ならば私だって心得がある、だからこうして攻撃の避け方、どこをどう見てその上でどう動くか、という事柄を直接的に教えている。



まぁ私は武器を使わないですけどね。



『そろそろいいだろ、乙骨憂太、後は君が自分で祓え。』

「えっ！？あ、わわ。」



私の殺し方は彼の優しい性格と相反する。
だからそのやり方を身体に教えたくはない。


難なく呪霊にとどめを刺した彼がはぁ、とため息をついた。


素人も素人。人並みの運動能力があってそれだけ。秀でたところといえば珍しい善人という部類の人間であり祈本里香が憑いているという点か。




『……うん、じゃあ帰って、まずは真希と手合わせして、それから私と組手をしようか。これが1番手っ取り早い。』


「うん…ありがとう、鳴瀬さん。」


『お礼を言われるのなら里香ちゃんからが良かった。』


「えぇ……。」




『あぁそれと、反転術式っつーものがあるんだけど。』



君は使えるかな、と問いかけてもきっとそれが何かは分からなくて間抜けな顔をするだけなのだろう、この男は。



全く、やはり美しい女性がこの世で最も素晴らしい。男は猿だ。




『ねぇ里香ちゃん、君はどうしてそんなに美しいのか、分かる？』

「な、鳴瀬さん…里香ちゃんは答えられないと思う…んだ。」

『黙ってて。』




ひゃい、と萎む彼を気にかけはしない。
里香ちゃんがこの問に答えられるとも思ってない。
解答者のいない、誰も正解が分からない問だ。




『愛だからなんだよ。』

　
　
　
　
　
　
　

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