その兎は恋をする【呪術廻戦】

術式開示 ページ6

　
　
　
　
　

　
『刀、ですか。』

「まだ全然慣れてなくて…実戦では使えそうに無いです。」



刀を手に取ったのが昨日ならそりゃそうだ。
何でもいい、里香ちゃんが見ているならそれでいい。




『乙骨憂太、祈本里香、今日の任務はこの公園にいる弱い呪いを祓うことです。』


「は、はい！」




伺うような怯えるような、そんな彼に疑問を抱く。しばし思案、そしてひとつの結論に至る。



祈本里香が怒り、私に襲いかからないかが不安なのか、と。
恐らくそれは正解。しかし乙骨憂太に危害を加えようとすることはないので安心してもらいたい。





『大丈夫だよ、乙骨。彼女は私を殺せない。』



「殺せないって…じゃなくて、殺させないよ！」



『それは頼もしい。じゃなくて、』





『もしも里香ちゃんが私のことを殺そうとするならば、私が彼女を祓うから。』





挑発。
実際にそれが出来るかは分からない、未知数。
しかしそれでも自信はある。
それに見合う実力もある。



最悪の場合でも道連れだ。
そういう事はきっちり決めておきたい派なんだ。




『さ、低級呪いしかいないんだから君に任せたよ。』


「は、はい！」




刀を不格好に構える彼にそこから教えるか、とため息ひとつ。
初心者なら仕方がないかと割り切るしかない。



しかし……本当に低級呪いだけが出現するかどうかが疑い深いところだ。
私はどうにも引きつけ体質らしいし、それ以上に祈本里香の力もある…が。



帳を降ろした私は既に何かが侵入している気を察知してまたひとつため息を吐く。
自分の体質を恨むべきだろうが八つ当たりさせてくれ。




誘われてくるお前も悪いんだぞ、と。




『乙骨憂太、来い。』


「え？あ、はい！！」




『今からお前に戦い方を教える。理屈は要らない。身体に叩き込め。』




準一級のそこそこな呪霊がケタケタと笑う。
私が手を前に出すと、棒立ちだった乙骨の手が刀を構えだす。




『これが私の術式だから、驚かなくていいから黙って見ててね。』


　
　
　
　
　
　
　
　

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