番外編 あなただけの* ページ46
『ねぇ乙骨、いい加減機嫌直してよ』
私の部屋で、私は彼があぐらかいて座るその上に座って抱きついている。
彼はむぅと唇を尖らせて不満げな顔をする。
何時間これを続けるのだろうか、と思いながら少しばかりの恥ずかしさと嬉しさとが同居する心臓がうるさく脈打つ。
「ん…やだ」
そう言って軽く唇を重ねる彼に驚いて体がびくりと跳ねるがすぐに腰に手を回されて押さえつけられる。
『…ちょ、や……んぃ…』
相も変わらずなれないその行為に飛びそうになる思考を繋ぎ止めて微かに抵抗するがそれも虚しく体にだんだん力が入らなくなって指先がぴりりと痺れるような感覚がした。
何度も何度も、角度を変えてキスを落としてくる彼が艶めかしい声をもらしながら舌先を巧みに扱いこちらの口をこじ開ける。
こうなってしまえば抵抗するのも無駄だと完全に脱力し、無意識に振れる腰を恥ずかしく思いながら口の端からもれる自身の甘い声にくらくらしてきた。
「……ん、はっ……かわい、ね」
『んにゅ、やらっ…まっ、やぅう……』
だんだん呼吸が荒くなる。それと同時に乙骨の方も瞳の色が変わりぎらぎらとした目つきになる。
まるで獣のような彼の姿に下腹部がきゅんといやらしく鳴いた。
これはまずい、と判断した脳が咄嗟に手を出して彼を遠ざけ乱れかけていた衣服もぴしっと直し改めて真面目に、向き直る。
『…乙骨、も、やめ…とこうか』
「なんで?嫌?」
『や、……じゃないけど、じゃないけどっ!!』
雰囲気に流されてするのはよろしくない、と濡れた唇を軽く拭って熱い顔をなるべく隠すようにして訴える。
「Aちゃんが甘々になる日なんでしょ?じゃあ恋人である僕にもっと甘くなってもいいと思うんだけど…五条先生の方が良かったの?」
そういう彼に、それでこんななのかと納得する。
単純に、自分以外の異性…主に五条先生に長年抱きついていた日だということに嫉妬しているのだろう。
愛いやつだ。そう思いながらふっと軽く笑う。
『いや?乙骨の方が好きで、特別だよ』
そう言って彼の頬に軽く口付けを落とし、再び笑ってみせる。
自分からするのは余裕ぶるくせして、私からするとどうしてこうも赤くなるものか。
『大丈夫、ちゃんと、愛してる』
今度はきちんと唇にキスをして。
愛してますと伝えてやろう。
HappyValentine for You.
終わり ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←番外編 あなただけの
403人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
甘蜜蜜華(精神安定剤())(プロフ) - しし。さん» はい!発作です!!嬉しがってくれて嬉しいです!(?)更新頑張ってください! (2021年2月9日 16時) (レス) id: 80388bac17 (このIDを非表示/違反報告)
しし。(プロフ) - 甘蜜蜜華(精神安定剤())さん» ほ、発作的な何かが起こってらっしゃる.....?好きなんてそんな、とっても嬉しいですありがとうございます!!! (2021年2月9日 6時) (レス) id: 5f5d2e19fb (このIDを非表示/違反報告)
甘蜜蜜華(精神安定剤())(プロフ) - ひゃぁぁぁ!!!!!!好きです!もうっ!……ああっ!だいすき!! (2021年2月8日 22時) (レス) id: 80388bac17 (このIDを非表示/違反報告)
しし。(プロフ) - Arisuさん» うばぁ〜!!嬉しいですありがたや〜。乙骨先輩良いですよね...まじでリアコ製造機。大好きって言って頂きありがとうございます!!!もうしばらくこの作品にご付き合いくださ〜い!!!!! (2021年1月22日 11時) (レス) id: 5f5d2e19fb (このIDを非表示/違反報告)
Arisu(プロフ) - この作品大好きです!私も乙骨くん推しなんですよ!もう作者様様です! (2021年1月22日 7時) (レス) id: 5506a0fa2c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しし。 | 作成日時:2021年1月1日 11時