お荷物 ページ36
「なんか、とんでもない事になっちゃったなぁ」
ぽつりと呟く声が隣から聞こえて花瓶を持ったまま振り返る。
『呪術界にきた時点でとんでも案件は当然なんだ。ま、それにしたって濃いのは事実か』
「Aちゃんでもそう思うの？」
『夏油傑なんて特級野郎、自分から会いたいとも思わないしね。あいつはとんでもお抱えだから』
がら、と2人きりの教室のドアを開くとそこには足を上げた真希が。
しばしの沈黙の後、私がため息を吐く。
『……真希、行儀が悪いからいい加減足で開くのはやめなさい。あとポケットにも手はいれない』
「母親かよ」
うるさい、と肘で小突いて花瓶の水を入れ替えに教室を出る。
廊下は当然の如く肌寒くて身震いした。
きゅうと蛇口を捻って水を出す。
流れる液体をただ眺めて、何も考えない。
ふ、と外が暗くなって顔をあげれば誰がやったのか、帳が下ろされていた。
『誰がやったかなんて…1人しかいないよな』
短く舌打ちをして高専中に張り巡らせていた索敵の念糸をぐいと引っ張ると、反応があった。
そちらの方角、道を邪魔する窓や壁をばらばらにして全身の筋力を増強。
たんと軽やかに蹴り出したくせにその床はぼろぼろで粉々になった。小さな足跡が僅かに見えるだけ。
滞空時間はなるべく短く。すぐに着陸体制に入ったのは真希とそいつを見つけたから。
真希を実力不足という訳では無いが、あれは重荷だ。日本に5人しかいない特級術師。
『いや、特級呪詛師、か』
言いながら真希の体を念糸で掬って腕の中に。
危なかった、とは言えない。既に頭から血を流して、たった今気絶した。
出血量があまりにも多い、顔を歪めて念糸による応急処置で傷を閉じる。電気がジジと鳴った。
「あぁ、何だっけ。特に秀でるところもない特級術師……だったよね？」
『そうですけど、っ』
風を切って呪霊が飛んでくる。
寸前で避けて真希を片手で持って呪霊が床に激突した衝撃を受けないために宙へ浮かぶ。
空いている右手の指をびきびきと動かして蜈蚣のような呪霊の体を切断。電気で処理した。
「ふぅん……聞いてたよりかは強いじゃないか」
伊達に特級じゃない、と手を叩いて喜ぶ素振りを見せる彼＿＿夏油傑に舌打ちをした。
それでもなお、彼はふふと笑う。
「でもまぁ…片手にそんなお荷物がいたら自由に動けなくて大変だよね」
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甘蜜蜜華(精神安定剤())(プロフ) - しし。さん» はい！発作です！！嬉しがってくれて嬉しいです！(？)更新頑張ってください！ (2021年2月9日 16時) (
レス) id: 80388bac17 (このIDを非表示/違反報告)
しし。(プロフ) - 甘蜜蜜華(精神安定剤())さん» ほ、発作的な何かが起こってらっしゃる.....？好きなんてそんな、とっても嬉しいですありがとうございます！！！ (2021年2月9日 6時) (レス) id: 5f5d2e19fb (このIDを非表示/違反報告)
甘蜜蜜華(精神安定剤())(プロフ) - ひゃぁぁぁ！！！！！！好きです！もうっ！……ああっ！だいすき！！ (2021年2月8日 22時) (レス) id: 80388bac17 (このIDを非表示/違反報告)
しし。(プロフ) - Arisuさん» うばぁ〜！！嬉しいですありがたや〜。乙骨先輩良いですよね...まじでリアコ製造機。大好きって言って頂きありがとうございます！！！もうしばらくこの作品にご付き合いくださ〜い！！！！！ (2021年1月22日 11時) (レス) id: 5f5d2e19fb (このIDを非表示/違反報告)
Arisu(プロフ) - この作品大好きです！私も乙骨くん推しなんですよ！もう作者様様です！ (2021年1月22日 7時) (レス) id: 5506a0fa2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しし。 | 作成日時：2021年1月1日 11時
