その兎は恋をする【呪術廻戦】

埋まっちゃったよホトトギス ページ35

　
　
　
　
　
　
　
黒いサングラスの奥に見える空色の輝きが笑うように、既に答えを知っているであろうに聞いてくる。ほんと、趣味が悪い。




『えぇ、大丈夫ですよ。ヒステリックも起こされず…正直拍子抜けなどくらいです。』


「そっかそっか。まぁ、落ち着いてきたと思わなきゃこっちに来ることも僕が許さないし。」




お前は保護者か、と睨みつけても笑って逃げる彼には適わずため息をつく。
最近はピリピリしていたみたいだから、機嫌が治っているみたいでいいが痩せ我慢にしか見えてこない、何でだかな。




『ねぇ先生。私がいない間に、何かあった？』




少しの沈黙、その後に貼り付けた笑みを降ろして彼は向き直ってくる。





「Aは、呪術師が非術師を救うことをどう感じる？」



『……どうして助けなきゃいけないんだ、と非術師と関わってきて嫌な思いになったことは何度もあります。…が、』



『それが義務なのだから私は特に、何も思いません。』




その言葉に「そっか」と弱い返事を返した五条先生は、大人しく、何があったかを話してくれた。
その内容は彼の親友、夏油傑が高専に来てまで宣戦布告した百鬼夜行。


なるほど、総力戦をと学長は恐らく言ったのだろう。そしてそれは向こう側も理解しているだろう。何と言っても元教え子だ。


東京・新宿・京都……呪術高専を狙ってくると思ってたが、あえて言わずなのか？
私が敵ならばこの度の戦いには駆り出されないであろう乙骨、それがいる高専へ殴り込みに行くが……はてさて。




『で？先生。私はどうすればいい？』




私は今の今までその話を聞かされていなかった。
ならば上が下した判断は恐らくこうだろう。




「Aの好きなように動け、それが学長や上の判断だよ。命令でもある。」


『…分かりました、ありがとう。』



未来ある特級。お気に入りの我が子。
そしてさらに才能のある乙骨をもし万が一狙われたとしても私がいればどうとでもなる。
…なるのかなぁ、と思うがしなきゃ駄目なんだろう。



すっと目を逸らして首を傾ける。
考えることが苦手なら、考えることに意味は無い。
ならやめてしまおうか。



その結論に至り、特に何もせず百鬼夜行当日が時刻どうりにやってきた。



　
　
　
　
　


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やらないと思ってたでしょ、百鬼夜行。
私も忘れてた。


　
　
　
　
　
　
　

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