愛 ページ32
「それにしても呪術師か。血は争えないのかしらね」
懐かしむように言った彼女に眉を傾げる。
『何が?』と彼女の方を向きながら問うと伏し目がちにこう話す。
「あなたのお父さんも、呪術師だったのよ。
私が呪霊に襲われているのを助けてくれて、元々狙われる体質だったらしい私の為に付きっきりで祓ってくれていたの。」
「私の初恋だったわ」
初めて聞く、ちゃんとした父の話に驚く。
父が呪術師だった……?そんなこと微塵も聞いたことがない。
「元々お父さんは鳴神神社というところのご子息でね、色々あって呪術師の道を歩んだの。
五条先生からあなたが呪術師になったと言われた時はほんともう、驚いたんだから。」
鳴神神社……そこの人達が名乗る姓を鳴瀬だとは知っていた。確か、私も血が繋がっているという理由で跡継ぎ候補の1人だったはず。
呪術師となってしまってはそれからは離れているだろうが、死なない内は頭数に入っているかもしれない、と今更ながら思い出す。
雷の神を祀る神社で、全国的にも有名……とは行かず、知る人ぞ知る静かな山奥にこじんまりとある自然と共存する素晴らしき場所だ。
家族が嫌いで友人もおらず家にもいられなかった私の、唯一の安息の地だった。
呪術師のいう呪いとやらと仲を育んだのも。
『……て、初恋?』
「そこ、疑問なの?……確か20歳になったばかりくらいだったかな。それまで箱入り娘の女子校育ちで男の人も知らなくて、初めてちゃんと話したのがお父さんだったの」
「お父さんが死んだのは、私にも原因があるのかもって今更思うの。初めての人だからって、構いすぎて、重かったかもしれないから」
あぁ、激重だっただろうな。
学校を中退させられた時のことを思い出してげんなりと、渋い顔になる。
あの時の母の瞳が正気であったことも狂気だ。
『……でも、じゃあ、何で父さんが亡くなった後、誰かも分かんねぇ男なんかと、遊んでたんだよ』
理解できないその行為を、壁1枚隔てたすぐ側で行われたそれを。その音を拾う自分の耳を包丁で刺してしまおうと思ったこともあった。
結局その時はその後の処理や痛み、お金のことを考えて止めたが。
「……うんと、ね。なんと言うか…その。恥ずかしい話なんだけど……。」
行為を堂々としていた以上に恥ずかしいことなどあるのか、と思わず黙ってしまった。
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甘蜜蜜華(精神安定剤())(プロフ) - しし。さん» はい!発作です!!嬉しがってくれて嬉しいです!(?)更新頑張ってください! (2021年2月9日 16時) (レス) id: 80388bac17 (このIDを非表示/違反報告)
しし。(プロフ) - 甘蜜蜜華(精神安定剤())さん» ほ、発作的な何かが起こってらっしゃる.....?好きなんてそんな、とっても嬉しいですありがとうございます!!! (2021年2月9日 6時) (レス) id: 5f5d2e19fb (このIDを非表示/違反報告)
甘蜜蜜華(精神安定剤())(プロフ) - ひゃぁぁぁ!!!!!!好きです!もうっ!……ああっ!だいすき!! (2021年2月8日 22時) (レス) id: 80388bac17 (このIDを非表示/違反報告)
しし。(プロフ) - Arisuさん» うばぁ〜!!嬉しいですありがたや〜。乙骨先輩良いですよね...まじでリアコ製造機。大好きって言って頂きありがとうございます!!!もうしばらくこの作品にご付き合いくださ〜い!!!!! (2021年1月22日 11時) (レス) id: 5f5d2e19fb (このIDを非表示/違反報告)
Arisu(プロフ) - この作品大好きです!私も乙骨くん推しなんですよ!もう作者様様です! (2021年1月22日 7時) (レス) id: 5506a0fa2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しし。 | 作成日時:2021年1月1日 11時