狂気絢爛 ページ27
想定していたよりもよっぽど早い帰りに自分でも驚く。まぁ、ほとんど1人でやったしな。
校舎内に入ると甲高い笑い声と話し声が廊下に響いていた。
「誰か来てるのかな?」
『…みたいだ』
笑い声に何故か悪寒を感じつつその声がするのは自分たちの教室。
胸の真ん中辺りが妙に違和感を訴える。
行くなとそう言われている気がしてならない。
しかし手は止まらず、教室の扉を無意識に開け放つ。扉のすぐ近くに立っていた……真希と目が合った。
彼女は目を見開いて私を押し出そうとした。
『え、なに、なに。何で追い出すの?』
そんなに怒らせることでもあっただろうか、とぐぐぐと尋常ならざる力で押してくる彼女に反発してぐぐぐと押し返す。さらに焦られる。
「いいから…!お前が来たら面倒なことに……」
「あぁ〜!Aっ!やっと会えたわぁ〜!!」
小声でも気迫を出す真希、その背後から聞こえた声に私は抵抗のての字もなくなる。
つま先からひやと凍りつく感覚。
『……なんで、』
真っ白な顔色の彼女が絞り出せた言葉はその3文字。胃から何かが込み上げてくる。
「なんでって…酷いなぁ。子供がいなくなったら探すのは当然親の役目でしょう?」
『頼んでない。』
「それにしても東京は暑くて暑くて、人も多いし参っちゃうわぁ。」
『帰ればいいじゃないか、今すぐに。』
「それでね!お母さん見たの!路上に転がる変な大人たち!!あんなのが普通なの?」
私からしたらあんたの方が変な大人だよ。
自由に話す母に唇を噛んで我慢する。
「もうびっくりしたけど…それよりも、そんな大人に私の可愛いAちゃんが襲われちゃったらどうしようって、怖くて仕方がなかった。」
可愛い我が子の声もこの女には聞こえていないようだ。そこにあるのは本当に愛なのだろうか。
あと襲われるとかお前じゃないんだ、怒るぞ。
『可愛い……なんて、思ってもないくせによく言うよね。名前で呼ばないでくれる?』
挑発するようにハッと笑って皮肉に顔を歪ませる。そうすれば目の前の飢えた女の今まで馬鹿みたいに上がっていた口角は下がる。
「今、なんて言ったの。」
『あんたなんかに言われる名前はないって言ったんだよ。……頭だけじゃなく耳までイカれたのかよ』
とびきりの笑顔で言ってやると彼女は奇しくも美しい顔を歪ませてAの制服の襟元をがっと掴んで持ち上げる。
403人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
甘蜜蜜華(精神安定剤())(プロフ) - しし。さん» はい!発作です!!嬉しがってくれて嬉しいです!(?)更新頑張ってください! (2021年2月9日 16時) (レス) id: 80388bac17 (このIDを非表示/違反報告)
しし。(プロフ) - 甘蜜蜜華(精神安定剤())さん» ほ、発作的な何かが起こってらっしゃる.....?好きなんてそんな、とっても嬉しいですありがとうございます!!! (2021年2月9日 6時) (レス) id: 5f5d2e19fb (このIDを非表示/違反報告)
甘蜜蜜華(精神安定剤())(プロフ) - ひゃぁぁぁ!!!!!!好きです!もうっ!……ああっ!だいすき!! (2021年2月8日 22時) (レス) id: 80388bac17 (このIDを非表示/違反報告)
しし。(プロフ) - Arisuさん» うばぁ〜!!嬉しいですありがたや〜。乙骨先輩良いですよね...まじでリアコ製造機。大好きって言って頂きありがとうございます!!!もうしばらくこの作品にご付き合いくださ〜い!!!!! (2021年1月22日 11時) (レス) id: 5f5d2e19fb (このIDを非表示/違反報告)
Arisu(プロフ) - この作品大好きです!私も乙骨くん推しなんですよ!もう作者様様です! (2021年1月22日 7時) (レス) id: 5506a0fa2c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しし。 | 作成日時:2021年1月1日 11時