何だってんだ ページ26
領域展開、最高峰のその術。
習得できるものはほんのひと握り、選ばれたものだけが上がれるステージ、希少な力。それは消耗が激しい。
いくら経験を詰んでいるとはいえAだって例に漏れず使えばぶっ倒れるだろう。
攻撃必中、強力なAの術がどう足掻いても当たるとなれば相手は死が確定したということ。
領域内に入った時点で終わりだ。
鳴神乱破、彼女の領域内はいつも嵐だった。
雷が荒れ狂い暴風雨は病むこと知らず、気を抜けば吹き飛ばされてしまうから踏ん張らねばならぬが如何せん足場が何故か悪い。
今にも崩れそうな崖の上に立たされているのだ。
その崖の下は乱れ襲いかかる波が押し寄せる断崖絶壁と呼ぶに相応しい場所。
彼女は混乱していた。
彼女は正気じゃなかった。
『歯ァ食いしばれや低級が。しばくぞ。』
その呪霊は既に特級へと昇級していた。
しかし彼女は混乱していた。
気がつくことも無く全力で虐めた。
「大丈夫?」
気がついたら車内で乙骨に膝枕をされながら眠りこけっていた。
口も目もぽかーんとあいたまま数秒過ごす。
状況を冷静に、冷静に理解しようじゃないか。
『わーーーー!!!!』
「わぁっ!」
「ひぃぃぃぃ!!!」
ばねを使ってびょんこと飛び起きる。
軽く驚いただけの乙骨とひどく驚いた様子の伊地知さん。伊地知さんの叫び声がさっきの呪霊に似ていたことは黙っておこう。
飛び起きたのはいいものの、消耗しきった体は言うことを聞かず、すぐにばててしまって乙骨の体に寄りかかってしまう。
それを叫ぶ元気もない。
『に、任務の方は…?』
「大丈夫だよ、そのぅ…Aちゃんがすっごい術で倒したみたいで、恙無く終わりました。」
走行中の車のなか、外はまだ辛うじて明るい。
見慣れた景色に『あぁ、もう少しで高専か』とぼけた頭が思う。
すっごい術……領域展開のことか、だからこんなに体がだるいのか、と未だはめてあった手袋を脱ぎとってポケットに無造作に入れる。
「…Aちゃんって結構面倒くさがり?」
『……悪いかよ』
「それに口も案外悪い」
『だから、悪いのかって』
ふふっと女みたいに笑う乙骨に腹が立って腕の力で頑張って起き上がる。
起き上がらなければよかった。
「かわいいなって」
柔らかく笑う彼を見てしまえば。
好きだ、と。
素直にその感情が顔を出してしまうから。
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甘蜜蜜華(精神安定剤())(プロフ) - しし。さん» はい!発作です!!嬉しがってくれて嬉しいです!(?)更新頑張ってください! (2021年2月9日 16時) (レス) id: 80388bac17 (このIDを非表示/違反報告)
しし。(プロフ) - 甘蜜蜜華(精神安定剤())さん» ほ、発作的な何かが起こってらっしゃる.....?好きなんてそんな、とっても嬉しいですありがとうございます!!! (2021年2月9日 6時) (レス) id: 5f5d2e19fb (このIDを非表示/違反報告)
甘蜜蜜華(精神安定剤())(プロフ) - ひゃぁぁぁ!!!!!!好きです!もうっ!……ああっ!だいすき!! (2021年2月8日 22時) (レス) id: 80388bac17 (このIDを非表示/違反報告)
しし。(プロフ) - Arisuさん» うばぁ〜!!嬉しいですありがたや〜。乙骨先輩良いですよね...まじでリアコ製造機。大好きって言って頂きありがとうございます!!!もうしばらくこの作品にご付き合いくださ〜い!!!!! (2021年1月22日 11時) (レス) id: 5f5d2e19fb (このIDを非表示/違反報告)
Arisu(プロフ) - この作品大好きです!私も乙骨くん推しなんですよ!もう作者様様です! (2021年1月22日 7時) (レス) id: 5506a0fa2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しし。 | 作成日時:2021年1月1日 11時