雷兎 ページ21
予想してない訳じゃなかった。
乙骨憂太、この子は前に棘と任務に行った時にも予定よりも位の高い呪霊に会ってしまったと。
「廃ビルの中ってこんなに明るいっけ…?」
『そんな訳あるか。敵の領域内だ。』
間抜けは放っておき辺りを見渡す。
夜のネオン街、というのが最も適切な表現だろうか。街頭はチカチカと光り居酒屋の暖簾がちらほら。
人で溢れかえった夜の都会のような光景に真っ先に違和感が勝つ。
これをみて廃ビルの中と結びつく人間がこの世にいるとは到底思えないな。
ふと道行く人々の顔を見やるとそれらには顔がなかった。鼻が、口が、目が何も。
まるでのっぺらぼうだ、と思いながら1人の肩を掴んでこちらを向かせる。
『あの、ちょっとお話できますか。』
妙にひやっとした彼女に『あ、ダメだこれ』と思った瞬間に爪を突き立てる。
ぴり、と指先が電気を帯びた。
「なんか焦げ臭……え?」
『乙骨、祓うぞ。』
真っ黒な人型が数秒形を留めたまま地面に足をつけていたがその後は灰となって風に攫われる。
乙骨の肩を押して下がらせ、両手を解す。
『 遥雷・共鳴 』
両手を前に翳してそう呟くと、自分の体が青白い光に__閃光に包まれる。
そのまま標的を目の前を通り過ぎる成人らしき影を見せる者に定めて、中身は同じ呪霊である彼ら全てに共鳴するように。
『 爆 』
目を細めてそう呟くと、爆発が手前から奥へと怒涛に起こり、思わず耳を抑えたくなるほどの爆音が空間を制した。
しばしの黒煙の後、それが払われた領域内には先程までのような低級呪霊の大群は既におらず、呪術師である二人だけがそこにいた。
「す……すごい…。」
『そんな事はないよ。やろうと思えばやれるさ。』
いや多分無理…と呟く乙骨を横目にそれもそうかとため息をつく。
『糸による精神支配などの能力は自分自身が持ったモノだったんだが、今見せたように電気に関しては完全に後から入れたものなんだ。』
「後天的に電気能力を帯びさせるなんて、どうやって…。」
『四六時中電流を体内に注ぎ込めばいいんだよ。』
現に私はそうだった、と静電気によって僅かに逆立つ髪の毛をひとつにしばるため口に髪ゴムを咥える。
自分の白髪がちらちらと視界に入る。
電気を浴びすぎたせいですっかり色が落ちてしまった訳だが存外嫌いではない。
「……それは、その。呪術連の大人に…?」
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甘蜜蜜華(精神安定剤())(プロフ) - しし。さん» はい!発作です!!嬉しがってくれて嬉しいです!(?)更新頑張ってください! (2021年2月9日 16時) (レス) id: 80388bac17 (このIDを非表示/違反報告)
しし。(プロフ) - 甘蜜蜜華(精神安定剤())さん» ほ、発作的な何かが起こってらっしゃる.....?好きなんてそんな、とっても嬉しいですありがとうございます!!! (2021年2月9日 6時) (レス) id: 5f5d2e19fb (このIDを非表示/違反報告)
甘蜜蜜華(精神安定剤())(プロフ) - ひゃぁぁぁ!!!!!!好きです!もうっ!……ああっ!だいすき!! (2021年2月8日 22時) (レス) id: 80388bac17 (このIDを非表示/違反報告)
しし。(プロフ) - Arisuさん» うばぁ〜!!嬉しいですありがたや〜。乙骨先輩良いですよね...まじでリアコ製造機。大好きって言って頂きありがとうございます!!!もうしばらくこの作品にご付き合いくださ〜い!!!!! (2021年1月22日 11時) (レス) id: 5f5d2e19fb (このIDを非表示/違反報告)
Arisu(プロフ) - この作品大好きです!私も乙骨くん推しなんですよ!もう作者様様です! (2021年1月22日 7時) (レス) id: 5506a0fa2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しし。 | 作成日時:2021年1月1日 11時