兎跳び ページ17
「随分稼いでるみたいだね。」
『…冥さん。』
金の匂いがすればどこにでもくるのか、この人。
ホテルの一室で溜まった任務を効率的に行う方法を思案していたのだが、セキュリティはどうしたのだろうか。
『悪いですが、ヘルプは望んでませんよ。』
「しにきたつもりはないけど…あわよくばと思ってたのも事実。先手を打たれてしまったね。雇うつもりはないかい?」
『話聞いてましたか?』
ノートパソコンをぱたりと閉じてため息ひとつ。
冥冥さんは細く長い人差し指を自身の顎にひたりとあてる。
「いやね、五条君やその生徒…その他にも色んな術師が君を心配しているんだよ。
連絡は取れないけど任務完了の知らせは聞くし様子はおかしいらしいし、面白そうだと思って金も無く飛んできたんだ、この私がね。」
『大問題ですね、今すぐ寝た方が良いですよ。』
「しかしその様子を見ると、おかしくなったというよりは数年前の君に戻っただけに見えるな。」
じろりと睨むと彼女は「おぉ怖い」とおどけてみせる。またひとつため息をついた。
『忘れたいんですよ、その数年前の私を。』
「それで仕事漬けのホテル暮らしかい?学生のうちから立派な社畜だね。」
『嬉しくないです。』
ため息が止まらない私の頬に手を滑らせ、そのまま美しい顔を近づけてくる冥冥さん。
ふわりと華やかな香りがした。
「君は大雑把で無愛想に見られがちだが、誰よりも繊細で臆病な子だ。」
「愛が何か分からない、それは君が受け取った事がないから。本来受けるはずだった、あげるはずだった両親は君にはそれをしなかった。」
『…冥さんは、どこまで知ってるんですか。』
「さぁ?ほとんど全部、と言ったら怒るかい?」
彼女の胸に頭を預け、されるがままになる。
元々こちらが座っていたのだから彼女がそれをするのは容易な事だ。
『冥さんにとって愛は、何ですか?』
「勿論、お金だよ。それ以外にない…が、」
くいと私の顎を掴んで強引に上を向かせて目を合わせる。彼女の瞳は妖しげに細められていた。
「Aが愛を求めるのなら私はそれを君にあげる。何だってしてあげるよ。」
『金銭関係の話は嫌です。』
「おや、冷たい。」
知ってる。彼女は憂憂のことを雇用関係云々抜きで愛していることを。
そんな彼女がこの話を持ちかけるのは、金のためだけじゃないことも分かる。
それでも、違うんだ。
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甘蜜蜜華(精神安定剤())(プロフ) - しし。さん» はい!発作です!!嬉しがってくれて嬉しいです!(?)更新頑張ってください! (2021年2月9日 16時) (レス) id: 80388bac17 (このIDを非表示/違反報告)
しし。(プロフ) - 甘蜜蜜華(精神安定剤())さん» ほ、発作的な何かが起こってらっしゃる.....?好きなんてそんな、とっても嬉しいですありがとうございます!!! (2021年2月9日 6時) (レス) id: 5f5d2e19fb (このIDを非表示/違反報告)
甘蜜蜜華(精神安定剤())(プロフ) - ひゃぁぁぁ!!!!!!好きです!もうっ!……ああっ!だいすき!! (2021年2月8日 22時) (レス) id: 80388bac17 (このIDを非表示/違反報告)
しし。(プロフ) - Arisuさん» うばぁ〜!!嬉しいですありがたや〜。乙骨先輩良いですよね...まじでリアコ製造機。大好きって言って頂きありがとうございます!!!もうしばらくこの作品にご付き合いくださ〜い!!!!! (2021年1月22日 11時) (レス) id: 5f5d2e19fb (このIDを非表示/違反報告)
Arisu(プロフ) - この作品大好きです!私も乙骨くん推しなんですよ!もう作者様様です! (2021年1月22日 7時) (レス) id: 5506a0fa2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しし。 | 作成日時:2021年1月1日 11時