兎と無下限 ページ13
世間的にも自分的にも日曜日、外に出た。
学校をやめた私は、朝から近所のスーパーに足を運び、母のためだけに買い物をした。
あれから食欲も特になく、何かをしたいという衝動も無かった。なので取り敢えず動く事にした。
元々家のことは全て私がしていたが、学校に行かなくなって益々家の掃除をするようになった。
ただ単純に、暇なのだろう。
「最近さ、あいつ来なくなったよね。」
聞き覚えのある声と見覚えのあるジャージに、慌てて被っていた帽子を目深に下げる。
一応ウィッグを被ったりしているし、ばれないとは思うが、そこにいたのは同じ部活の同級生。
先程から肩が重いとか騒いでうるさかったのはこいつらか。
「やめたんじゃない?何でかはわからんけど、まぁ面白い奴じゃないし。」
「さばさばしてるっつーか何ていうか、顔良いし、澄ましてんのかって感じだよね。」
『別に、澄ましてないけど。』
目の前の女二人組が驚くのを見て、今更やってしまったと内心焦る。こういう、体が勝手に動くやつを止めたいと思ってはいるが治らない。
しかも表情はとても不機嫌そうで、同級生と思わしき二人はむっとした。
「な、なんだ、元気そうじゃん。……てかさ、あんた何で来なくなったの?いじめ?」
むっとはしてもこちらの顔が余程怖かったのか、少し弱々しい声で、しかし強めの言葉を発する。
その言葉に私は首を傾げてはてと考える。
いじめはされてないししてないぞ、と。
『特に理由もないよ。ただ、やめなきゃと思った、それだけ。』
彼女達が何それ、と呆れた顔をする。
本当の事を言ったらきっと、もっと何か言われる。そういうのは面倒臭くて嫌いだ。
『私がこうしてる事、誰にも言わないでね。』
もうこの近くに来るのは辞めよう、次からは隣町のスーパーで買い物をしよう。
祖母の事を田舎からでてきた、とはいったが私も十分田舎者。電車もろくに走ってない。
少し面倒だが、これからは朝早く出て食材を手に入れねば、と謎に意気込む。
北海道は寒いから、ちゃんと着込まなきゃ朝はほんとに凍りそうになるし…。
と、思わず忘れていた事をふと思い出して女二人組の所へとことこ戻る。
そして片方の、おさげの女の肩を叩いて。
『そう言えば、ごみ、ついてたよ。』
それは手の先に触れると、ばしゅんと溶けて灰になり、冷たい風に攫われていった。
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甘蜜蜜華(精神安定剤())(プロフ) - しし。さん» はい!発作です!!嬉しがってくれて嬉しいです!(?)更新頑張ってください! (2021年2月9日 16時) (レス) id: 80388bac17 (このIDを非表示/違反報告)
しし。(プロフ) - 甘蜜蜜華(精神安定剤())さん» ほ、発作的な何かが起こってらっしゃる.....?好きなんてそんな、とっても嬉しいですありがとうございます!!! (2021年2月9日 6時) (レス) id: 5f5d2e19fb (このIDを非表示/違反報告)
甘蜜蜜華(精神安定剤())(プロフ) - ひゃぁぁぁ!!!!!!好きです!もうっ!……ああっ!だいすき!! (2021年2月8日 22時) (レス) id: 80388bac17 (このIDを非表示/違反報告)
しし。(プロフ) - Arisuさん» うばぁ〜!!嬉しいですありがたや〜。乙骨先輩良いですよね...まじでリアコ製造機。大好きって言って頂きありがとうございます!!!もうしばらくこの作品にご付き合いくださ〜い!!!!! (2021年1月22日 11時) (レス) id: 5f5d2e19fb (このIDを非表示/違反報告)
Arisu(プロフ) - この作品大好きです!私も乙骨くん推しなんですよ!もう作者様様です! (2021年1月22日 7時) (レス) id: 5506a0fa2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しし。 | 作成日時:2021年1月1日 11時