青と桃の選択肢 (ページ2)

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「今日向かいのおうちに引っ越してこられたんですって。ご挨拶は？A。」
　

母にそう言われ
私は途切れ途切れに簡単な挨拶をした

「あ、AA......さっ３さいです！」

　
特に意味はないが指を３本立て３歳であることを主張する

　
「こんにちは、はじめましてAちゃん。挨拶できてえらいね。ほらマサイも。」
　

マサイと呼ばれた少年も恥ずかしそうにそわそわと顔を下に向けながら
　

「ぼ、ぼくマサイ…ッ。ぼくも３さい…です！」

　
と、同じように指を３本立てこちらに見せた

　
「あらまぁ、じゃあAと同い年だね。
良かったねA、新しいお友達が出来るよ。」
　

「新しいお友達。」

　
そう呟き私はしばらくマサイの顔を見つめる

３年間の人生で初めて見る特徴的な顔だなと
幼いながらに思っていたに違いない。

　
「Aちゃん、これからこの子と仲良くしてもらってもいいかな？」
　

特に断る理由もない

何より面白い子な気がするので私は一言「うん」と頷いた。

　
「よろしくね、マサイくん。」

　
そう言って片手をずいっと差し出すと、おずおずと手を握ってくれた。
　

「マサイ君のお母さんは日本人で、お父さんは外国の方なんですって。初めてね、Aにハーフのお友達できたの。」
　

がいこく？はーふ？

その言葉に聞き慣れていない私はふと

この間兄と共に見ていたグルメ番組を思い出し

一体どんな情報の改変が起こったのかこんなセリフを口に出した

　
　「がいこくって、おいしいあれか。」

　
どれだ

その場にいた全員の目が点になっていたのを

私は今でも鮮明に覚えている