感情回収、記憶抹消いたします。 (ページ23)

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23.執事の秘密ページ23

「もったいぶってないで教えろ、お嬢様に魔法かけろって頼んできたやつ。」
突きつけた銃口をさらに押し付ける。
有岡の怒りは、すでに最高潮に達していた。

「あー、もう。ほーんと厄介だなお前は！！」
「執事として当然のことをしてるだけだ。」
「‥‥じゃあ、そんな大ちゃんにヒントね。」
ゆっくりと振り返り、押し付けられていた銃口を自らの手で覆う。その行為とどこか勝ち誇ったかのような笑みに有岡は一瞬怯んだ。

「Aには、過去に２回魔法をかけたんだ。」
「は‥‥？」
「依頼主は２人。それぞれ別のタイミングで。一つは大ちゃんも知ってるように感情回収の魔法、そしてもう一つは、」

彼女から許婚の存在を消す魔法。

その言葉に、有岡より先に侑李が反応した。
「なんだよそれ‥‥」
「あれ、まさか知らなかった？」
「‥‥僕のことだけ綺麗に忘れてた。あの日有岡からそう聞いて、慌てて駆け付けたんだ。でも何が原因でそうなったのかは分からない、有岡も中島も口を揃えて言ってた。だから‥‥」

必死になっている侑李を見て、慧が呆れ顔で笑う。
「そりゃあそうだよ。だって、」

それ、頼んだの大ちゃんだから。

思わぬ言葉に、唖然とする侑李と彼女。そして、明らかに動揺している有岡。

「皮肉だよねぇ、後々助けてもらう相手にそんなことしちゃうなんてさ。」
だから言いたくなかったんだよねぇ、と一つ溜め息を吐くと、気が動転している有岡から銃をすっと奪い、近くにあったソファに腰掛けた。

「‥‥何突っ立ってんの。有岡、今すぐ否定しろよ。僕、簡単には信じないからさ。ましてこんなわけわかんないやつの話なんか」
だが、有岡は一切口を開こうとしない。その態度に苛立った侑李は、有岡の目の前に立った。

「有岡、何か言えよ。」
「‥‥。」
「有岡！！！！」
侑李の叫び声が部屋中を木霊する。

その声に呼応するかのように、有岡は一気に話し始めた。
「‥‥ほんの出来心だったんだ。思っちゃいけないことだって分かってた。女性としてじゃなくて主として好きなんだって何度も何度も思い込ませた。だけど、いのちゃんが実は魔法使いだって知って俺は‥‥」

「へぇ、それで執事だなんてよく言えたよね。
Aがどんな気持ちになるか想像したことある？その話知った時、Aが何を思うかお前考えたことあんのかよ！！！！？」
やるせない気持ちが抑えきれず、侑李は有岡の胸ぐらをぐっと掴んだ。