感情回収、記憶抹消いたします。 (ページ3)

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3.怪しい専門店ページ3

――あれから、時は過ぎた。

「では、こちらの商品をお買い上げということでよろしいでしょうか。」
「はい、お願いします。」
会計が終わると、一人の店員が奥から手のひらサイズのカプセルを持ってきた。
カプセルの中で、なにやら虹色の煙が時折渦巻いている。

「くれぐれも、取り扱いには十分ご注意くださいませ。」
ふわりと微笑みながら、それを手渡す。
「ありがとうございました、またのご利用お待ちしております。」
客が見えなくなるまで、ぺこりと頭を下げ続ける。と、そこへ。

「相変わらず、丁寧だね。」
「しゃ、社長…！お疲れ様です！」
マッシュルームの茶色い髪が特徴的な男が店に入ってきた。

「お疲れ。で、今日の売り上げは？」
「順調ですよ。」
「そう、良かった。」

ここは、人間の感情を取り扱う専門店。
喜怒哀楽の4種類があり、カプセルに入った煙を浴びるだけで、一時的にそれぞれの感情を味わうことができるようになっている。怒りの感情など、はたして買う人がいるのか、とも思うが、意外と需要があるらしい。ただし、使用用途については買った本人に委ねられているため、いつどこで使われているのかは定かでない。

「あ、社長。」
「ん、」
「あの子、あまり使いすぎないでくださいね」
「え、なにそれ、どういう意味」
途端に険しい表情を見せる。

「だからそれは」
「お前には関係ないだろ、それとも何、お前が代わりに務めるとでも？」
「い、いえ、失礼いたしました。」
鋭い眼光。今にも掴みかかってきそうな気配を感じた店員は慌てて頭を下げた。

「じゃ、あとは頼んだよ。」
そう言い残し、彼は去っていった。