検索窓
今日:20 hit、昨日:1 hit、合計:5,423 hit

20.魔法の効力 ページ20

「大、ちゃん‥‥?」
明らかに様子がおかしい有岡。
中島は一瞬で理解した。

「お前記憶までいじっただろ‥‥」
「んー、感情に記憶はつきものだからねぇ。」
何食わぬ顔で、手のひらから出る煙をカプセルに入れながら、ゆっくりと中島に近寄る。

「感情って、無限なんだよ。今は俺に対する怒りなんてないだろうけど、またすぐにつくられる。大ちゃんの場合、俺がいる限り繰り返す。」

「‥‥一つ聞いていいですか」
「どうぞ、なんなりと。」
「なぜ、そんなに大ちゃんにすがりつくのですか?」
途端に慧の表情が曇る。

「そんな風に見えてるんだ、俺。」
「ええ、異常なほど。」
「それはね、大ちゃんとAの本当の関係を知ってるからだよ。」

「本当の関係‥‥?」
ここで、有岡の笑顔がすっと消えた。

「おっと、‥‥ごめんね中島くん、この話はまた今度。」
ひらひらと手を振ると、今度は有岡に近づく。

「大ちゃん、そろそろ教えてくれる?」
「ん?」
「君のお嬢様は、誰といるの?」
「それ、は‥‥」


「まさかお前最初から‥‥」
「勘が良いね。そうだよ、中島くんが嘘ついてるなんてすぐに分かった。でも、高ぶった時の感情のほうが高く取引されるから、ありがたく利用させてもらったよ。」
ごめんねぇ、大ちゃん。
心のこもってない言葉が、目の前の有岡にかけられた。しかし、有岡は一切反応を示さない。

「で、Aはどこ?」
「言わなきゃ、だめ‥‥?」
無意識なのか、駄々をこねる子供のように潤んだ目で慧を見つめる。
「だーめ。ちゃんと言わないと電気流れちゃう。」
左手首にある輪をつんと指でつつく。
「そっか‥‥」
「正直に話してくれたら、それとってあげる。」
「本当に‥‥!?」
「大ちゃん騙されないで!!!」
中島が後ろから有岡の肩を掴んで揺さぶる。
すると、思わぬ反応が返ってきた。

「‥‥いきなり何すんだよ」
低いトーンに焦る中島と、何かを察した慧。
「大ちゃん‥‥!?」
「あー、中島くん。」
しばらく俺の言うことしか聞かないと思うよ、と勝ち誇った顔。
そんな慧をキッと睨み付ける中島。

「‥‥で、どこにいるの?」
「許婚のところ」
「いい、なずけ‥‥?」
予想外のフレーズに、ぽかんとする。
「そう、お嬢様の」
「そいつの家、分かる?」
「分かんない。でも、」
知念侑李、それが許婚の名前だよ。

今の有岡が嘘を言わないことは、慧が一番分かっている。
「ありがとう、大ちゃん。」
刹那、手首の輪は床へ転がっていった。

21.招かれざる客→←19.悪魔の策略



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 4.5/10 (10 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1人がお気に入り
設定タグ:Hey!Say!JUMP
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

この作品にコメントを書くにはログインが必要です   ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:日和 | 作成日時:2020年11月22日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。