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13.偽りのデート ページ13

「―――で、大ちゃんも一緒に同行することになったと。」
「同行じゃねーよ、護衛。」

計画通り、デート当日がやってきた。
三人は、中島の車で移動し、助手席に彼女、後部座席に有岡。
有岡としては少々不満だが、今日は主と中島とのデート。
仕方なく後部座席に座っている次第である。

「でも、GPSと嘘発見器って厄介だね。大ちゃんてさ、嘘吐くの下手だし。」
「余計なお世話!」
ムキになる有岡を見て、思わずふふっと笑う中島。

「月影さん、」
「はい、」
「あ、今日は一切敬語禁止!」
「え?」
「いいから。」
デートってそういうもんでしょ、といたずらっぽく、軽く眉を上げた。
そうだね、と微笑む彼女。

そして、しばらく車を走らせると、特徴的な形の大きな建物が見えてきた。
「よし、着いた!」
彼女が選んだ場所は、近くの有名な水族館。
車から降りようとすると、有岡よりも先に中島が待ってて、と運転席から降りた。
不思議がっていると、助手席の扉が開く。
「さ、行こうか」
ゆっくりと差し伸べられる手。
彼女はゆっくりとその手をとり、車から降りた。
有岡もその様子を何とも言えない表情で見つめた後、車から降りる。

「どこ行きたい?」
「うーん、あ、そろそろイルカショーやるって!」
「じゃあ、まずはそっち行こうか」
館内マップを手にした二人は、本来の目的をとうに忘れた様子。
やれやれ、と思いながらも護衛という任務に集中する有岡。

「あー楽しかったー!」
「すごかったね、あんなに高く飛んでるとこ初めて見た!」
「次、どうする?」
「とりあえず全部見たいから最初のエリアに戻りたいな。」
「よし、そうしよう。」

そうして、二人はいったん入り口に戻り、時折童心に帰りながら館内を楽しんでいく。



「最後のエリア、だね。」
「これがあの有名な巨大水槽…」
館内の中央に、まるで突き抜けるかの如く存在する大きな円柱型水槽にやってきた二人。
そのあまりの規格外の大きさに息を呑む。

「ここにいる魚って幸せなのかな。」
水槽の中で優雅に泳ぐ魚たちを見ながら、彼女から出た言葉。
その言葉の意図が分からず、ぽかんとする中島。
すると、朝から任務に徹していた有岡が彼女にゆっくりと近づいてきた。
「お嬢様は、やはりお優しいですね。」
「そう?だって、確かに、エサは困らない、敵に襲われることもない…
けど、外の世界を知らずに生きていくってことでしょ」
なんかそれって、むなしいと思わない?
私、みたいに。

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作者名:日和 | 作成日時:2020年11月22日 18時

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