2話 ページ2
そんな乱闘騒ぎの中、一人だけ足を机の上に乗せて黙っている男子生徒を見つけた。
黒い髪に映える紫色の丸いピアスが彼の耳にポツンと一つだけ開いている。
顔は…美形。これぞイケメンって感じ。
彼は私の斜め後ろの席だ。
周りで騒がれているのに、よくあんなにも涼しい顔ができるなぁ…、尊敬尊敬…
ちらちらと盗み見していると、彼はどうやらイヤホンを耳にさして目を瞑っているからこの乱闘騒ぎが聞こえないらしかった。
はえ〜、その手があったか。
と感心していると、その目がパチッと開かれた。バッと反射的に顔を前に戻して煩く鳴り響く心臓に手を当てる。
バレた…？見てたってことバレた！？
しかし何の声掛けもされない。
案外バレなかったのかも…
と、ホッとして視線をまた彼に向ければ
「ちょっと黙ってもらえます？」
バキャッと太い木材を真っ二つに折ったみたいな音と、舌っ足らずな低くも高くもない声。
座っていた彼はいつの間にか教室の中心に、耳にささっていたイヤホンは彼の耳から外れて重力に沿って肩から垂れ下がっていた。
何が起こったか分からないが、周りが静まり返る中、彼の手に掴まれた腕があらぬ方向に曲がってしまっているのを見てしまった。
一人、その折れた腕の持ち主だけが聞き取れない叫び声を上げて腕から逃げようと水槽から飛び出た金魚のように暴れ出す。
思わずか細い悲鳴が漏れてしまったが、どうか許してくれ。
こんな光景ドラマでしか見たことない
てか人の腕ってあんな脆いの…？
自分の腕をにぎにぎと無意識に触ると、折られた本人でもないのに痛みがじんわりと腕に広がって胸が苦しくなった。
「うるさ」
男子生徒はそれだけ残すと腕を離してまたイヤホンを付けてしまう。
流れるように教室を見渡した瞳と目が合った。
目が、
合った…
目が合った！？
「あー、噂の」
私が椅子から立ち上がるのと、彼の好奇心に満ち溢れた小言はほぼ同時だったと思う。
少しだけ上がった口角に恐怖しかない。
殺される、いや精神面ではもう殺されてる
「俺、紫原っていいます。よろしく」
彼が歩き出すと道が開かれる。
え、ちょっと待って道出来ないで誰の許可を得てそこどいていいって言ったの、
とうとう私の前に来た彼の差し出された手を凝視する
骨ばった手は男の子のそれ。
これで腕折ったんだよね見てた
握手…？握手なのこれ…！？
続く (更新停止中)
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心持ち - あ、消さないでくださいよ！？絶対ですy((((殴 (2020年11月28日 21時) (
レス) id: 6c4e6d0421 (このIDを非表示/違反報告)
心持ち - 面白いです!控えめに言って神、神作です！ゆっくりでいいので更新頑張って下さい! (2020年11月28日 21時) (レス) id: 6c4e6d0421 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たこ焼き | 作成日時：2019年8月23日 0時
