9話 ページ10
「時間がねぇんだ。そこを退いてくれ」
「悪いけど、女の子が傷つくのをただ見てるっていう趣味はないもんでね」
両者一歩も譲らない攻防戦。
そこからはずっと平行線だった。おついちさんが攻撃を仕掛け、男がそれを避ける。その逆も然り。その度に増えていく部屋の損傷と両者のかすり傷。
見ているだけの自分が、ただただちっぽけで…
だからと言って私が出ていったらきっとおついちさんの邪魔になってしまう。
『どうしよう…』
無力感に手を強く握りしめて___その手が温かい何かに包み込まれた。
あまりの驚きに後ろに仰け反ったが、硬いものに当たって顔を上げる。
「Hello。お嬢さん」
にぃっと吊りあがった口角に、目元を隠すサングラス。そしてその奥から覗く切れ長な目に捕えられる。
脳を溶かすような低く甘い声に手の力が自然と抜け、胸元が開けられたシャツから鍛えてきたのであろう肉体が色気を放っていた。
いつの間に、という言葉の変わりに悲鳴に近い声が漏れそうになるが、それを制止するように長細い指が私の口元に添えられた。
『んっ…！んー！』
「Shh」
抵抗するため手を振りあげようとしたが、どっちの手も胸の前で拘束され、しかも後ろから抱きしめられるようにされているため身動きが取れなくなっている。
耳元でそう囁かれて嫌でも体が反応した。
唯一動かせる足を動かそうにも、どうにも出来ない。おついちさんはあの男に集中してこっちの状況には気付いていないのだろう。
兄弟だと分かっていたのに、なぜあの男1人だけだと過信していたのだろうか。
悔しさから奥歯を噛み締めた。
「後でたっぷりと可愛がってやるから、抵抗すんなよ」
手首を掴んでいた手が離されてチャンスだとばかりに口元に当てられた手に掴みかかるが、それよりも早くに自分の脇腹あたりに青白い光を放つ黒い物が目に入った。
それを脇腹に押し当てられた瞬間、
『ん"ん"ん"ｯ！！』
激しい痛みに体が痺れてふっと意識が飛びかける。抵抗していたはずの足や手に力が入らない。
そのままぐったりと男の胸板に体を委ねた。
声が…出ない
体が痛くて泣きたいのに、それすらも許されない
男は力が抜けた私の体を軽々と肩に担ぎ、歩き出す。
こんなにも痛いならいっその事意識を飛ばしてほしかった。それをさせないのは、この男の良心からなのか。
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北海ユキノコ(プロフ) - 続きを楽しみに待ってます！頑張って下さい！応援してます！ (2023年2月20日 17時) (
レス) id: cfe4c19063 (このIDを非表示/違反報告)
北海ユキノコ(プロフ) - いつも、ワクワクしながら読んでます！ (2023年2月20日 17時) (レス) @page41 id: cfe4c19063 (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - ばおばぶさん» コメントありがとうございます…！何度も…！！本当にありがとうございます。これから登場人物も増えていく予定ですので、お楽しみくださいませ！！ (2022年6月20日 0時) (レス) id: 670de1abda (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - konbu_3723さん» コメントありがとうございます…！とても嬉しいです…、リアルの方でバタついていたのもありそのお言葉で涙が出てしまいました。更新頑張ります。暑い日が続いてます。konbuさんもどうかお体に気をつけてください。 (2022年6月20日 0時) (レス) id: 670de1abda (このIDを非表示/違反報告)
ばおばぶ(プロフ) - 御三方にハマってから占ツクでこちらのお話を見つけて実は何度も見に来ていたので更新とても嬉しいです！！今後の展開も楽しみです(*´﹀`*) (2022年3月26日 2時) (レス) @page38 id: 656b6dd078 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：。 | 作者ホームページ：http:/http://commu.nosv.org/p/tensan819
作成日時：2019年3月7日 18時
