37話 ページ38
また眠りについた兄者さん。
ドッと疲れが押し寄せて深いため息を零した。
おでこに乗せていたタオルは暖かくなっていたから替えて、タオルケットを掛ける。
床に無造作に置いていたバッグを肩から下げて静かに家を出た。
扉を抜けたその先で眩しい太陽の光が私を出迎える。新鮮な空気が鼻を抜けて肺を満たした。
やっと、やっと逃げられる
もうこんな窮屈な思いをしなくていい。
もう誰にも怯えずに暮らしていけばいい。
食料や寝る場所は後から考えればいい。
ただ、今はこの家から出来るだけ離れてしまいたい。
あの2人が帰ってくる前に。
歩き出した足は軽くて、まるでステップを踏むようにどんどんと前に出る。
道行く人が訝しげに私を見るが、そんな事は気にならない。
これで自由だ、自由になれた…！
そう思ったのも束の間、どこから湧いたのか私の前に4、5人の大男達が立ちはだかる。
思わず歩みを止めてしまった私にずんずんと近づいてくると、あっという間にその太い手に腕を取られて体を持ち上げられた。
『なっ…！？』
私の上半身を2人が、下半身を3人が支えて横道に付けていた灰色のバンに近づいていく。
叫びを上げようとした口は上半身を支える男に塞がれ、思うように体を動かせず、放り投げるようにバンに乗せられた。
その私を奥に押し込むように男が詰めて入ってきて、あっという間にバンが発進してしまう。
『な、何なんですか貴方達は…！』
これって俗に言う誘拐…？
私の問いには一切答えない男達。
この車がどこに向かうか、これから自分がどうなるのか全く想像が出来ず、ガタガタと壊れたおもちゃのように震えた。
やっと、やっと自由になれると思ってたのに…
ボロボロと涙が頬を伝って嗚咽が漏れる。
そんな私の声が鬱陶しかったのかもしれない。
1人の男が私の口に白いハンカチを詰め込んできた。もう1人の男が両腕を掴んでいるから抵抗ができず、押し戻すようにベロを使うけど、抵抗虚しくハンカチが口の中の隙間を埋めた。
気持ち悪い、吐きそう、誰か、誰か助けて
こんな時に限ってあの3人が脳裏を過る。
それが許せなかった。
誰の力も借りないって決めたはずなのに、どうしてこんなにも神様は酷いんだろう。
神なんて信じてないけど、今だけは神頼みでも何でもした。
助かるならどんな奇跡でもいいから起きて欲しかった。
そもそもこいつ等は誰なんだ。
段々と冷静になってきた頭にフツフツと怒りが湧いてくる。
絶対に逃げ出してやる
あの3人の力なんて借りなくったって、私は生きてけるんだから。
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北海ユキノコ(プロフ) - 続きを楽しみに待ってます！頑張って下さい！応援してます！ (2023年2月20日 17時) (
レス) id: cfe4c19063 (このIDを非表示/違反報告)
北海ユキノコ(プロフ) - いつも、ワクワクしながら読んでます！ (2023年2月20日 17時) (レス) @page41 id: cfe4c19063 (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - ばおばぶさん» コメントありがとうございます…！何度も…！！本当にありがとうございます。これから登場人物も増えていく予定ですので、お楽しみくださいませ！！ (2022年6月20日 0時) (レス) id: 670de1abda (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - konbu_3723さん» コメントありがとうございます…！とても嬉しいです…、リアルの方でバタついていたのもありそのお言葉で涙が出てしまいました。更新頑張ります。暑い日が続いてます。konbuさんもどうかお体に気をつけてください。 (2022年6月20日 0時) (レス) id: 670de1abda (このIDを非表示/違反報告)
ばおばぶ(プロフ) - 御三方にハマってから占ツクでこちらのお話を見つけて実は何度も見に来ていたので更新とても嬉しいです！！今後の展開も楽しみです(*´﹀`*) (2022年3月26日 2時) (レス) @page38 id: 656b6dd078 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：。 | 作者ホームページ：http:/http://commu.nosv.org/p/tensan819
作成日時：2019年3月7日 18時
