26話 ページ27
扉が閉まる音と少しの寒気に意識が浮上するのを感じ、私は重たい瞼を上げた。
ボヤけた視界に映るのは綺麗な天井と、自分の掌。背後から射し込む月明かりに照らされ、自分の手がピクリと震える。
どれくらい寝ていたんだろう、ここに来てから寝ることが多くなった気がする。それは単に寝不足なのか、精神面でガタがきてるのか、
ゆっくりと起こした体に薄い毛布がかかっていた。また、おついちさんだろうか…。そう言えばあれからおついちさんは帰ってきたのかな。
毛布に顔を寄せるとほんのりと香る甘い匂い。
あれ、おついちさんの匂いじゃない…？
それを不審に思うが特に気にすることもなく、妙に重たい体でベッドから降りるとベッド下に置いといたバッグを取り出して自分が持ってきた分の衣類やその他日用品を詰め込む。
時計に目を移すとちょうど22時頃を指していて、やっぱり私は相当な時間寝ていたらしい。
この頭の痛みも寝すぎからやってくるものだろう。
全ての荷物を詰め込むと慎重にリビングまで降りる。
頭が痛い…、こほっと乾いた咳が廊下に大きく響いて慌てて口に手を当てた。
さっき扉の閉まる音がしたし、多分誰か今の今まで起きていたんだろう。
やがて着いたリビングはすっかり静まり返っていた。明かりをつけてみるとガランとしていて、ふと机にラップのかけられた一人分のご飯が並べてあるのに気づく。
ご飯の隣に置いてある小さなメモ用紙を手に取って、私は心臓が痛むのを感じた。
『……おついちさん、やっぱり優しすぎますよ』
置き手紙に書かれた柔らかい文字を指でなぞって誰に言うわけでもなくそう零した。
"起きたら食べてね"
でも、私にはこれを食べる権利なんてない。
そっとそれに背を向けてバッグを肩に掛け直すと玄関に急ぐ。これ以上ここにいたら自分が壊れてしまいそうで怖い。
喉の奥から込み上げてくる名も知らない感情に胃の中のものを吐き出しそうになった。
なんとか口元を押さえて落ち着きを取り戻すようにしたが、どうにもならずに急いで靴を履いて玄関に手を伸ばす。
だけどそれより早く後ろから伸びてくる黒い影。
私が振り向くより早くに肩に手を回されて後ろに勢いよく引かれた。
その拍子にバランスを崩して床に尻から倒れ込み、ジンジンとした痛みに声をあげる隙も与えずに何かが腹部を圧迫した。
「なあ、逃げるなよ。これからがお楽しみだろ？」
『おと、じゃ…さん』
暗い廊下の中でもハッキリと分かるその鋭い瞳に呼吸をするのも忘れていた。
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北海ユキノコ(プロフ) - 続きを楽しみに待ってます！頑張って下さい！応援してます！ (2023年2月20日 17時) (
レス) id: cfe4c19063 (このIDを非表示/違反報告)
北海ユキノコ(プロフ) - いつも、ワクワクしながら読んでます！ (2023年2月20日 17時) (レス) @page41 id: cfe4c19063 (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - ばおばぶさん» コメントありがとうございます…！何度も…！！本当にありがとうございます。これから登場人物も増えていく予定ですので、お楽しみくださいませ！！ (2022年6月20日 0時) (レス) id: 670de1abda (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - konbu_3723さん» コメントありがとうございます…！とても嬉しいです…、リアルの方でバタついていたのもありそのお言葉で涙が出てしまいました。更新頑張ります。暑い日が続いてます。konbuさんもどうかお体に気をつけてください。 (2022年6月20日 0時) (レス) id: 670de1abda (このIDを非表示/違反報告)
ばおばぶ(プロフ) - 御三方にハマってから占ツクでこちらのお話を見つけて実は何度も見に来ていたので更新とても嬉しいです！！今後の展開も楽しみです(*´﹀`*) (2022年3月26日 2時) (レス) @page38 id: 656b6dd078 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：。 | 作者ホームページ：http:/http://commu.nosv.org/p/tensan819
作成日時：2019年3月7日 18時
