24話 ページ25
訝しげに私を見るおついちさん。
まだこの話の真意を読み取れていないらしい。
正直、自分でも何を話してるか分からないんだから彼が分からなくても仕方ないと思う。国語が苦手だっただけあってとりあえず喋ってしまえ、と口が勝手に動くのだ。
『つまり、女が男を撃ったその瞬間、男もまた女を撃つんです。だから二人は撃てない。では話を戻します。リコリスさんを狙う敵をおついちさんは撃つと言いました。だけど、本当にそれで大丈夫ですか？』
「……もし撃ってしまったら、敵もリコリスを撃つ…？」
『私は銃を使ったことも、人を殺す場面に立ち会ったこともないので本当にそうなるかは定かではありませんが、可能性が0とは言いきれません』
緊張して喉が渇く。
話す度に、どこかにおかしな点がないかと考えて頭が回りそうだ。
『誰も傷つかずに、敵を確実に殺せる方法は一つ。それは、最善策だったんです。あとはおついちさんが敵を殺すだろうと信じて、彼は死をも恐れず銃口の先に飛び出した。だからきっと、リコリスさんはおついちさんを恨んでませんよ。誰かのために自分の命を犠牲にするって、それって相当な勇気がいると思います。それくらい、おついちさんを信頼していたんじゃないんでしょうか』
「でもアヤビさんは、俺を恨んでる」
『アヤビさん、私に言ったんです。おついちさんを救って欲しいって。もうとっくに許されてると思いますよ。誰も、おついちさんを恨んでなんかない。過去は変わりません。でもまだ未来は変えられます。リコリスさんとアヤビさんに、ちゃんと顔を合わせて話しませんか？』
少なくとも、私はそう思いました。
最後にそう付け足して恥ずかしさから車を出ようとした。
だけど右手をおついちさんに掴まれて浮かせた腰がまたシートに戻る。
掴まれた箇所が熱い。それが私の体温なのかおついちさんの体温なのか、
「……Aちゃんは？」
『え？』
「Aちゃんは、こんな俺でも生きてていいと思う？許されていいと、思う…？」
弱々しく呟かれた言葉に、初めておついちさんの手が震えてることに気づいた。
『私は』
部外者であって、
でもそう言う前に、腕を引かれておついちさんの香りに包まれた。
抱き締められてると理解したのはその数秒後で、背中に回る腕の優しさに心臓が締め付けられるようだった。
「アヤビさんと話すから、Aちゃんも一緒に来て欲しい、お願い…俺を一人にしないで……」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 377人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
北海ユキノコ(プロフ) - 続きを楽しみに待ってます！頑張って下さい！応援してます！ (2023年2月20日 17時) (
レス) id: cfe4c19063 (このIDを非表示/違反報告)
北海ユキノコ(プロフ) - いつも、ワクワクしながら読んでます！ (2023年2月20日 17時) (レス) @page41 id: cfe4c19063 (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - ばおばぶさん» コメントありがとうございます…！何度も…！！本当にありがとうございます。これから登場人物も増えていく予定ですので、お楽しみくださいませ！！ (2022年6月20日 0時) (レス) id: 670de1abda (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - konbu_3723さん» コメントありがとうございます…！とても嬉しいです…、リアルの方でバタついていたのもありそのお言葉で涙が出てしまいました。更新頑張ります。暑い日が続いてます。konbuさんもどうかお体に気をつけてください。 (2022年6月20日 0時) (レス) id: 670de1abda (このIDを非表示/違反報告)
ばおばぶ(プロフ) - 御三方にハマってから占ツクでこちらのお話を見つけて実は何度も見に来ていたので更新とても嬉しいです！！今後の展開も楽しみです(*´﹀`*) (2022年3月26日 2時) (レス) @page38 id: 656b6dd078 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：。 | 作者ホームページ：http:/http://commu.nosv.org/p/tensan819
作成日時：2019年3月7日 18時
