22話 ページ23
「それで、残ってた敵が僕を狙って引き金を引いたんだ。その時、初めて死ぬ恐怖を味わった。でも、」
そこで言葉を区切ると、彼は口を閉ざしてしまった。
でも？その先に続く言葉はまだまだ子供な私には想像もできなくて、ただおついちさんが口を開くのを待つ事しか出来ない。
その沈黙がどれだけ経ったのか、また静かに話が始まった。
「でも、そんな僕の前にリコリスが出てきて…。銃声は一発。僕に倒れ込むリコリスを抱きとめてすぐに敵を始末した。任務は失敗に終わって僕はリコリスを病院に運んだんだけど、当たったのが頭でね。でも手術のおかけでどうにか一命は取り留めた。けど、当たりどころが悪かったせいでほとんどの記憶を失っていたんだ。僕の事はもちろん、アヤビさんのことも」
『え、でもアヤビさんはそのリコリスさんと結婚したんですよね？』
「うん。記憶を失ったとはいえ、時折思い出す事があるらしくて、それで僕が組織を抜けるちょっと前に結婚したんだ。今日、会いに行ったよ。怖くてすぐに部屋を出てしまったけどね…、」
掠れた笑い声、ぎゅぅと胸が締め付けられた。
あ、と思い出したのは私がエレベーターに乗る前のこと。確かにおついちさんだけ違う部屋に案内されていた。それに、いつもの場所って…
もしかしてあれはリコリスさんに会いにいってた？そうなると、あのビルの一階には病院か何かがあるのかもしれない。
アヤビさんが言っていた新婚生活とは？
確かに自分の職場の下にはリコリスさんがいて…、でもそれって
とても、悲しいことなんじゃ…
「これが全てかな…。だから僕はアヤビさんに顔が上がらない。本当は今日みたいに会って話すことさえ許されないんだよ」
そんなこと、
そんなことない…、少なくともアヤビさんは__
『それは違いますよ』
見えてきたおついちさんの家。
私が零した言葉にハンドルを握るおついちさんの手がぴくりと反応した。
やがて車庫に入った車はエンジンを切って静寂に包まれる。
お互い、シートベルトも外さずにじっと何をする訳でもなく座っていた。
『アヤビさんは、おついちさんを恨んでなんかないと思います』
「どうして？僕は…彼女の大切な人の人生を狂わしてしまった。どうやったって過去は変えれないんだ。リコリスは、もう元には戻らない」
『それは違います！』
「違わない…！違わないんだよっ！！」
ドンッとハンドルに拳を乱暴にぶつけ、おついちさんはその瞳に怒りを宿した。
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北海ユキノコ(プロフ) - 続きを楽しみに待ってます！頑張って下さい！応援してます！ (2023年2月20日 17時) (
レス) id: cfe4c19063 (このIDを非表示/違反報告)
北海ユキノコ(プロフ) - いつも、ワクワクしながら読んでます！ (2023年2月20日 17時) (レス) @page41 id: cfe4c19063 (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - ばおばぶさん» コメントありがとうございます…！何度も…！！本当にありがとうございます。これから登場人物も増えていく予定ですので、お楽しみくださいませ！！ (2022年6月20日 0時) (レス) id: 670de1abda (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - konbu_3723さん» コメントありがとうございます…！とても嬉しいです…、リアルの方でバタついていたのもありそのお言葉で涙が出てしまいました。更新頑張ります。暑い日が続いてます。konbuさんもどうかお体に気をつけてください。 (2022年6月20日 0時) (レス) id: 670de1abda (このIDを非表示/違反報告)
ばおばぶ(プロフ) - 御三方にハマってから占ツクでこちらのお話を見つけて実は何度も見に来ていたので更新とても嬉しいです！！今後の展開も楽しみです(*´﹀`*) (2022年3月26日 2時) (レス) @page38 id: 656b6dd078 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：。 | 作者ホームページ：http:/http://commu.nosv.org/p/tensan819
作成日時：2019年3月7日 18時
