19話 ページ20
15階に止まったエレベーター。案内されたのはそれはそれは大きな部屋だった。
所狭しと衣装が飾られ、道具が散らばっている。彼女は恥ずかしそうにはにかみ「汚くてすみません」と謝った。ここは彼女の作業場らしい。
彼女はアヤビと名乗った。
聞くとアヤビさんは今年、20歳を迎えて優しい旦那さんと新婚生活を楽しんでいるとか。
人見知りが激しい私のことを気遣ってか、アヤビさんは沢山の話題を振ってくれた。
こういう人がモテるんだろうか…。
室内には私とアヤビさんだけ。なんだかミニ女子会をしているみたいで、凄く嬉しかった。
こんな気持ちはいつぶりだろうか。
ここ数日、現実味のないことばかりだったからかな…
蘇った兄弟を頭から追い出し、採寸道具をしまうアヤビさんの後ろ姿に声をかける。
『あの、アヤビさん…、恋ってどんな感じなんですか？』
「え？Aちゃん、恋したことないの？」
『意識したことがなくて…、』
驚いたようにメジャーを握る姿さえ、美人のアヤビさんは様になってしまう。
ちなみに様付けと敬語はやめてほしいと頼んだ。私はどこかのお嬢様でもなく、ましてアヤビさんの方が歳上なのだから。
うーん、と顎に手を当てて考え込んだアヤビさん。私は先程着替えさせられた白色のワンピースの裾を握りしめる。
こういう恋バナは夢だった。誰かの好きな人や、別れ話、そして自分の想い人を打ち明ける緊張感。全て出来なかった。
「そうだなぁ、Aちゃんっておついち様の事どう思ってる？」
『えっ…？おついちさん、ですか？』
「彼をみて、何か思うことはない？」
『おついちさんは私の恩人で、優しくてとても頼もしいです…』
「それは、恋じゃないかも」
そう真顔で返されるもんだから、私はぷっと吹き出してしまった。それにつられてアヤビさんもくすくすと笑う。
ああ、これが女子との会話なんだろうか。
そう思うと、擽ったいような何かが胸の中に溢れる。
そしてあっという間にやる事をやり終えてしまった。時間にして2時間もなかっただろう。
それなのにこの溢れんばかりの幸福感はどうしてくれよう。幸せを一気に受け取ってしまったようで、これからが心配になってくる。
入口まで送ると言ってくれたアヤビさんに続き、手に握らされた大きめな袋3つをぶら下げ私達はエレベーターに乗り込む。
幸せいっぱいな私に、アヤビさんが優しい声色で言葉を紡いだ。
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北海ユキノコ(プロフ) - 続きを楽しみに待ってます！頑張って下さい！応援してます！ (2023年2月20日 17時) (
レス) id: cfe4c19063 (このIDを非表示/違反報告)
北海ユキノコ(プロフ) - いつも、ワクワクしながら読んでます！ (2023年2月20日 17時) (レス) @page41 id: cfe4c19063 (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - ばおばぶさん» コメントありがとうございます…！何度も…！！本当にありがとうございます。これから登場人物も増えていく予定ですので、お楽しみくださいませ！！ (2022年6月20日 0時) (レス) id: 670de1abda (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - konbu_3723さん» コメントありがとうございます…！とても嬉しいです…、リアルの方でバタついていたのもありそのお言葉で涙が出てしまいました。更新頑張ります。暑い日が続いてます。konbuさんもどうかお体に気をつけてください。 (2022年6月20日 0時) (レス) id: 670de1abda (このIDを非表示/違反報告)
ばおばぶ(プロフ) - 御三方にハマってから占ツクでこちらのお話を見つけて実は何度も見に来ていたので更新とても嬉しいです！！今後の展開も楽しみです(*´﹀`*) (2022年3月26日 2時) (レス) @page38 id: 656b6dd078 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：。 | 作者ホームページ：http:/http://commu.nosv.org/p/tensan819
作成日時：2019年3月7日 18時
