15話 ページ16
次にガーネットの彼が私を見る。
「俺は弟者。少しの間だけど、よろしくな」
人懐っこい笑みに差し出された大きな手を握る。優しく握り返して貰えて、私も小さく自己紹介を済ませた。こうやって見ると自分の手が小さく見えてしまうのが不思議だ。そして思った以上に彼は優しいのかもしれないと、先程の兄者さんの態度を見る限りそう思えた。
そして彼がへへっと笑って、
『い"っ…！？』
その手が信じられない力で握り返されたのだ。
あまりの強さに指の関節がギチギチと悲鳴をあげる。引き離そうと手を引っ込めるが、そう簡単に離してはくれなさそうだった。
そして私の声が聞こえないのか、弟者さんがその力を更に強くし、グイッと自身に引き寄せる。
されるがままに引っ張られてもう片方の手がテーブルに勢いよくつき、その衝撃に皿が震えた。
おついちさんに助けを求めようと見たが、彼は兄者さんと難しい顔で何かを話しててこちらに気づいていない。
そして一気に縮められた距離の中、私の耳元、彼の口が触れるか触れないかの位置で低く囁かれる。
「俺はお前を絶対に許さねぇから」
その瞬間、全ての音が無くなった。肌に感じるのは鋭い殺気と憎悪。兄者さん同様、彼も私を憎み嫌っているとハッキリ刻まれた。
この体にも、心にも大きな傷を負わせた弟者さんはパッと手を離してまたあの人懐っこい笑みをその顔に貼り付ける。
キュッと唇を結んだ。泣くな。泣いちゃダメだ。噛み締めた唇が痛いけど、それよりも心の方が痛くて、
どうして私なの？私は死ぬの？とその瞳に問いかけるけど、彼はそれ以降私を見ることはなかった。
騒ぎに気づいたおついちさんが、兄者さんと話すのをやめて私を弟者さんから離す。
大丈夫？と背中を撫でられたが、その感覚はあまり無かった。まるで冷水を浴びたように体が震えて感覚がない。
「弟者くん、あんまりいじめないでくれるかな」
「別にいじめてないよ。挨拶しただけ」
「じゃあ何でこんなにも震えてるんだよ…！」
「まだ起きたばっかりだからじゃない？」
「弟者！」
「__おついちさんはさ、どっちの味方なわけ？」
その言葉にリビングが静まり返った。
私の背中を撫でていた優しい手が止まって、動揺しているのが背中から伝わってきた。
悩んでるんだ。この様子だとおそらくこの人達は元々知り合いで、私がいるせいで仲違いが起きてる。じゃあ私は、どうするのが正解なんだろう。
ここにいたところで、誰の得にもならない私は
ここにいる資格があるの？
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北海ユキノコ(プロフ) - 続きを楽しみに待ってます！頑張って下さい！応援してます！ (2023年2月20日 17時) (
レス) id: cfe4c19063 (このIDを非表示/違反報告)
北海ユキノコ(プロフ) - いつも、ワクワクしながら読んでます！ (2023年2月20日 17時) (レス) @page41 id: cfe4c19063 (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - ばおばぶさん» コメントありがとうございます…！何度も…！！本当にありがとうございます。これから登場人物も増えていく予定ですので、お楽しみくださいませ！！ (2022年6月20日 0時) (レス) id: 670de1abda (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - konbu_3723さん» コメントありがとうございます…！とても嬉しいです…、リアルの方でバタついていたのもありそのお言葉で涙が出てしまいました。更新頑張ります。暑い日が続いてます。konbuさんもどうかお体に気をつけてください。 (2022年6月20日 0時) (レス) id: 670de1abda (このIDを非表示/違反報告)
ばおばぶ(プロフ) - 御三方にハマってから占ツクでこちらのお話を見つけて実は何度も見に来ていたので更新とても嬉しいです！！今後の展開も楽しみです(*´﹀`*) (2022年3月26日 2時) (レス) @page38 id: 656b6dd078 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：。 | 作者ホームページ：http:/http://commu.nosv.org/p/tensan819
作成日時：2019年3月7日 18時
