12話 ページ13
Ot side
暫くの間、二人の鋭い双眼が俺を睨みつけ、恐怖からなのか自分の生唾を飲み込む音がやけに響いた。兄弟と正面から向き合ったのはいつぶりだろうか。
静寂がその場を支配し、何の物音もしない空間に息が詰まる。やがて先に折れたのは珍しくも兄者の方だった。
盛大なため息の後、ボソリと呟く。
「わかった」
その言葉に張っていた気持ちが緩んで、危うく足元から崩れ落ちそうになる。正面からぶつかってこられたらどうしようと、そんな情けない感情に埋め尽くされていた。二人から睨まれるとまるで生きた心地がしない。組織一つを一晩で潰せるほどの実力を兼ね備えた兄弟が、俺は何よりも恐ろしかった。
この家も守り抜けたし、僕としては上出来かな。
ふぅ、と二人には聞こえない程度の溜息を零す。Aちゃんを早いとこ治療しないと。
「けど一つだけ条件がある」
「条件…？」
ピリッと空気が変わった。
緊張の中、兄者が口を開き、
「俺達もここに住む」
「はっ…？」
「えっ」
って何、弟者まで驚いてんだよ！
それより、ここに住む？
確かに話の流れではその条件は何らおかしくはない。やっぱり僕に預けるのは不満か…。ただ、面倒なのはAちゃんにどう説明すればいいんだろうか。
自分を確実に殺すつもりの男二人と一つ屋根の下……
「___わかった。取り敢えずAちゃんの治療をさせてくれ」
こればかりは断りようがない。Aちゃんにはまた説明すればいい。
了承の意を伝え、救急箱を取り出す。
兄者がソファにAちゃんを降ろしたのを見届け、兄者に向き直った。
「どうせ兄者の事だからスタンガンでも使ったんじゃないの？」
「おう」
「おう、じゃないよ…全く。女の子の傷は一生もんなんだぞ」
シャツを捲って確認すると、火傷のような後。そっとなぞるとAちゃんが小さく反応した。
「Aちゃん聞こえる？少しだけ染みるかもしれないけど、我慢出来るかい？」
焦点の合わない瞳を見てそう言うと、一応こくりと頷いた。
それにしても、これは相当手加減したな。火傷用のクリームをその白い肌に塗り広げながら考える。
気絶させたいなら完全に当ててしまえばいいものを、気遣ってのことだろう。
殺したいのか優しくしたいのか、よく分からない奴だな。
その憎しみがここから始まる生活の中で薄れていけばいいんだけど。
包帯を取り出していると、後ろから覗き込む弟者。
「おついちさんって、この子のこと好きなの？」
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北海ユキノコ(プロフ) - 続きを楽しみに待ってます！頑張って下さい！応援してます！ (2023年2月20日 17時) (
レス) id: cfe4c19063 (このIDを非表示/違反報告)
北海ユキノコ(プロフ) - いつも、ワクワクしながら読んでます！ (2023年2月20日 17時) (レス) @page41 id: cfe4c19063 (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - ばおばぶさん» コメントありがとうございます…！何度も…！！本当にありがとうございます。これから登場人物も増えていく予定ですので、お楽しみくださいませ！！ (2022年6月20日 0時) (レス) id: 670de1abda (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - konbu_3723さん» コメントありがとうございます…！とても嬉しいです…、リアルの方でバタついていたのもありそのお言葉で涙が出てしまいました。更新頑張ります。暑い日が続いてます。konbuさんもどうかお体に気をつけてください。 (2022年6月20日 0時) (レス) id: 670de1abda (このIDを非表示/違反報告)
ばおばぶ(プロフ) - 御三方にハマってから占ツクでこちらのお話を見つけて実は何度も見に来ていたので更新とても嬉しいです！！今後の展開も楽しみです(*´﹀`*) (2022年3月26日 2時) (レス) @page38 id: 656b6dd078 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：。 | 作者ホームページ：http:/http://commu.nosv.org/p/tensan819
作成日時：2019年3月7日 18時
