11話 ページ12
Otu side
「薬を消したいんだよ」
暫くの沈黙の後、弟者が小さく呟いた。
それはとても悲しく痛々しい声で、瞳に宿る光は怒りなんて言葉じゃ足りないくらいに黒く染まっている。
コイツ等の両親が薬によって亡くなったのは、俺だって知っている。
だけど現実は無慈悲で、Aちゃんは薬の存在すら知らなかったんだ。
それなのに、
「薬は彼女の家になかった。おそらく、父親が何処かに隠したか部下が持ってると思う。だから、その子を」
「それじゃ意味がねぇんだよ」
今度は兄者が答える。
辛うじて意識があるAちゃんを横目で見て、真っ直ぐと俺を見据える。
「俺等の苦しみは、牢屋に入ったからって味わえるもんじゃない。だから、娘が目の前で死んで思い知ればいいんだ。薬なんかに頼るからこんな結末になるんだってな。組織のため？家族を養っていくため？そんな理由で俺達の家族は死んだのか？コイツを守るためだけに何で俺達がこんな目にあわなきゃなんねぇんだよ！」
Aちゃんの父親が牢屋から出てくるまであと何年だ？その間、Aちゃんはどうなる？
殺すのはきっと父親の前だ。ならばどう扱うつもりなのか。優しく接するとはとてもじゃないが思えない。2人がこうやって動くのは紛れもない復讐のためだ。
じゃあAちゃんに待ち受ける未来は、きっと今以上に辛いに違いない。
「なあ、取り引きをしよう」
「は？」
流石は兄弟といったところか、こういう時の反応は昔からそっくりだ。
取り引きなんて持ちかけたはいいけど、正直これは向こうにとってメリットなんてない一方的な取り引きだと思う。
でも、一か八か。
Aちゃんを守るって誓ったからには最後まで足掻いてやる
「まず、Aちゃんを僕に預けて欲しい」
「どういうこと？」
「俺達に復讐はやめろって言いたいのか？」
「違うよ。僕が彼女の世話係を受け持つって事。君達、この子の親父さんが出てくるまでどうするつもり？その間の世話は？憎しみしか抱いてないのに、本当にその子を育てていける？その調子じゃ親父さんが出てくる前にその子の方が死んじゃいそうだ」
兄弟が少し動揺した。きっとこれは向こうも思っていた事だからだ。
何年一緒にいたと思ってんのさ…
その期間、誰がおめぇらの世話したのか忘れちまったのか？
だから知ってる。
兄弟が掃除も洗濯も料理もてんでダメな事ぐらい。
「ならさ、僕が彼女を育てるよ」
主導権を握るなんて、何年も一緒にいた俺なら出来るだろ？
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北海ユキノコ(プロフ) - 続きを楽しみに待ってます！頑張って下さい！応援してます！ (2023年2月20日 17時) (
レス) id: cfe4c19063 (このIDを非表示/違反報告)
北海ユキノコ(プロフ) - いつも、ワクワクしながら読んでます！ (2023年2月20日 17時) (レス) @page41 id: cfe4c19063 (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - ばおばぶさん» コメントありがとうございます…！何度も…！！本当にありがとうございます。これから登場人物も増えていく予定ですので、お楽しみくださいませ！！ (2022年6月20日 0時) (レス) id: 670de1abda (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - konbu_3723さん» コメントありがとうございます…！とても嬉しいです…、リアルの方でバタついていたのもありそのお言葉で涙が出てしまいました。更新頑張ります。暑い日が続いてます。konbuさんもどうかお体に気をつけてください。 (2022年6月20日 0時) (レス) id: 670de1abda (このIDを非表示/違反報告)
ばおばぶ(プロフ) - 御三方にハマってから占ツクでこちらのお話を見つけて実は何度も見に来ていたので更新とても嬉しいです！！今後の展開も楽しみです(*´﹀`*) (2022年3月26日 2時) (レス) @page38 id: 656b6dd078 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：。 | 作者ホームページ：http:/http://commu.nosv.org/p/tensan819
作成日時：2019年3月7日 18時
