10話 ページ11
Otuiti side
遡ること数分前、Aちゃんの仕事場や家の処理に寝る時間を割いて取り掛かっていた。
暫くして、誰かが来た。
いくら集中していたとはいえ組織の人間だっただけあって、Aちゃんがこの部屋を覗き見ていることはすぐに分かった。
それに気づかないフリをしてキーボードを打ち込んでいると、その気配がなくなる。
「水でも飲みにいったのか…、」
痛みで目が覚めたのかもしれない。
確か痛み止めがあったはずだし、息抜きのついでに渡しに行こう。
そう思い立って席を立とうとした時、モニターの一つが赤色に点滅した。
侵入者の警告だ。
ついに来たか、
モニターに映る2人の姿に表情が引き締まる。
机横に置いといた刀を腰からさげ、すぐに下の階へと向かった。
実を言うと兄弟とは面識があった。
昔は3人揃って仕事をしたり、もちろんここを拠点として活動していたりもした。
だけど、彼等の両親が亡くなったその日から、兄弟は忽然と姿を消した。
それからというもの俺の前には一度だって現れなかったくせに、Aちゃんが来て早々に感動の再会ってか？
「Aちゃんしゃがんでっ！！」
こちらに背を向ける男に足蹴りをいれるがサラリと避けられる。
相変わらず、体格に似合わない素早い動きだ。
「何しに来たんだよ」
なぁ、弟者くんよぉ？
ソファの裏に隠れたAちゃんを見届けて、背に隠すようにソファの前に立つ。
「理由なんて、分かってるだろ？」
明確な殺意。
自分に向けられてないとはいえ、これには思わず冷や汗が背中を伝う。
随分と濁った目になりやがって…。
__お前の目ってルビーみたいだな
そう褒めたら宝石が輝くように瞳をキラキラさせて喜んでたのに、いつからそんなくすんじまったんだか。
まさか俺を守ってくれてたその銃を向けられる事になるとは、あの頃の自分じゃきっと想像もつかなかっただろう。
昔の記憶が蘇る中、しっかりと刀を握って相手に向き合う。何度か銃弾が体を掠ったが、止まる訳にはいかなかった。
後ろにちゃんと守る存在がいる。
それなのに
「おっつん」
懐かしい呼び名に動きが止まる。
目の前の弟者が不敵に笑った。
後ろを振り返ると、兄弟のもう一人である兄者がそこに立っていた。
その肩に担がれていたのは紛れもないAちゃんで、カッと頭に血が上る。
「…んでだよ。てめぇらの仇はその子じゃねぇだろ！」
兄弟は何も言わない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 377人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
北海ユキノコ(プロフ) - 続きを楽しみに待ってます！頑張って下さい！応援してます！ (2023年2月20日 17時) (
レス) id: cfe4c19063 (このIDを非表示/違反報告)
北海ユキノコ(プロフ) - いつも、ワクワクしながら読んでます！ (2023年2月20日 17時) (レス) @page41 id: cfe4c19063 (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - ばおばぶさん» コメントありがとうございます…！何度も…！！本当にありがとうございます。これから登場人物も増えていく予定ですので、お楽しみくださいませ！！ (2022年6月20日 0時) (レス) id: 670de1abda (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - konbu_3723さん» コメントありがとうございます…！とても嬉しいです…、リアルの方でバタついていたのもありそのお言葉で涙が出てしまいました。更新頑張ります。暑い日が続いてます。konbuさんもどうかお体に気をつけてください。 (2022年6月20日 0時) (レス) id: 670de1abda (このIDを非表示/違反報告)
ばおばぶ(プロフ) - 御三方にハマってから占ツクでこちらのお話を見つけて実は何度も見に来ていたので更新とても嬉しいです！！今後の展開も楽しみです(*´﹀`*) (2022年3月26日 2時) (レス) @page38 id: 656b6dd078 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：。 | 作者ホームページ：http:/http://commu.nosv.org/p/tensan819
作成日時：2019年3月7日 18時
