14話 ページ14
鋭い痛みで目の前がチカチカと点滅した。腰と手首がジンジンと痛む。どれくらい落ちただろう。手に持っていたコートとマフラーは上に取り残されてしまったようで、よく見ると床の仕掛け扉の間に挟まって少しだけ明かりが差し込んでいる。
とは言っても5mほどの高さだ。魔法でも使わない限り登るのは困難だろう。魔女が何言ってんだか、と思うだろうが、私のホグワーツでの成績は泡を吹くほどだ。
「それにしても、ここどこだろう」
一歩踏み出そうとした時、ぐちょ…と嫌な音がして足が滑る。再び尻もちをついた私に見えたのは、沢山の魔法動物だった。それも全て死骸だ。小さな悲鳴をこぼして立ち上がる。いくつもの虚ろな瞳が私を見て嘲笑っているようだった。
____気持ち悪い
そう思ったと同時に腹の奥から混み上がってきた吐き気に適わず全て戻してしまった。
口の中が酸っぱくて今すぐに口をゆすぎたい。
しかもさっきまで気づかなかった生き物が腐る異臭と混ざって、また吐きそうになった。
「なんなの、ここ…どうして魔法動物達がこんな姿に」
滲んだ涙を拭って出口を探すことにした。
ニュートもきっと今頃私を探しているはずだ。
いや、ニュートなら私のコートとマフラーに気づいて降りてきてくれるかもしれない。
不思議と心が暖かくなり、私はもう一度現状を見直すことにした。
ええっと、まず上の光が差し込んでいるところが私が落ちてきたところだよね?
それで、ここには大量の魔法動物の死骸がある。壁に囲まれているように見えるが、よく見ると私の後ろのそれは壁ではなく鉄格子だった。
どこかの部屋…というよりは牢屋に近い気がする。試しに鉄格子に手をやるが、ガチャガチャと空気を震わす音が鳴るだけで、ビクともしなかった。
床は一面に死骸があるだけで、家具などは見受けられない。不可思議な点は、死骸のどれもが普通の姿ではなかった事だ。
一応私にも魔法動物の知識があり、ある程度は見分けがつく。
だけど、ここにいるのは全てがそのどれにも当てはまらない。
否、当てはまってはいるが、どれもが違った。
それはまるでそれぞれのパーツをくっ付けたような_______キメラと呼ばれるものに似ていた。
そこでカチッとパーツがはまる。
謎の研究所、集められた魔法動物達。
そして机の上に散乱していた怪しげな書類の数々。
ここはキメラを作る場所だったのだ。
そう思うと、さっきまで私を嘲笑っていたように見えていた瞳は、悲しそうに見えてくる。
「ニュートを探さなきゃ…」
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莉亜 - 今日 映画みてきましたああああああ!ニュートかっこよかったあああ!です! (2018年12月23日 21時) (レス) id: 0b051a452c (このIDを非表示/違反報告)
たこ焼き(プロフ) - 豆犬さん» こちらこそコメントありがとうございます!映画行ってきましたー!!どんな形であれ、一度は観て欲しい映画です! (2018年12月3日 16時) (レス) id: 528c8409e6 (このIDを非表示/違反報告)
豆犬(プロフ) - 返信してくださり、嬉しかったです...!って映画観に行ったんですかあああ!?!?()← 羨ましすぎますw 私は観れそうにないのでDVDを待とう(真顔) (2018年12月3日 1時) (レス) id: 7127065132 (このIDを非表示/違反報告)
たこ焼き(プロフ) - 谷桐さん» 谷桐さん初めまして!あああああっ!貴方様もですかぁ!ここは沢山の同志がいて素晴らしい所ですね…(´;ω;`)ニュートさんのカッコ良さを表現できるよう頑張ります! (2018年12月2日 17時) (レス) id: 528c8409e6 (このIDを非表示/違反報告)
谷桐(プロフ) - 私もハマってしまった1人です…(笑)。ニュートがもうかっこよすぎて!小説更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2018年12月2日 16時) (レス) id: d68a053c79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たこ焼き | 作成日時:2018年12月1日 4時