運命の灯火,44 ページ44
◯。運命の灯火
あれから、最終試験に
あっさりと合格した
正直言うと覚えていない
夢にさえ出てこない程
それから約一ヶ月程度
任務漬けの末に柱になった
一ヶ月の間に師範の継子
にもなったんだけど
いつからなったのかは知らないし
覚えていない
柱への昇格条件の
甲にもなって、
下弦の鬼をたまたま倒した
柱に昇格すると、
お屋敷が貰えるので
その引越し前日に
お祝いの宴を開いてくれた
最後の師範の家と言う訳ではないけれど、
もう自分が帰ってくる家でなくなると、
少し寂しいかもしれない
そう思った
師範の継子たちは凄く喜んでくれた
久保さんは、頭を乱暴に撫でてくれて
千佳さんは久保さんとは対象的に
優しく撫でてくれた
大和さんは、涙ぐみながら
遠目で僕を見ていた
まるで、親のように見える
僕もなんだか嬉しかった
温かい気分になれた
ほっと息をつけた気がした
ふと、縁側に座っている師範を見た
何故か悲しそうだった
おめでとうと口は動いているけど
言葉が出てきていない
夢だからだろうか
何故か今にも泣き出しそうだった
悲しそうだった
必死に涙を堪えて泣かぬように
上を少し見上げていた
辛そうに見えた
師範のその姿に
俺もなんだか悲しくなる
ぐっと胸を締め付けられた
痛かった
苦しかった
辛かった
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作者名:下倉琉羽 x他1人 | 作成日時:2021年10月10日 11時