運命の灯火,43 ページ43
○。運命の灯火
かなりくねくねと
曲がった
ついた場所は、
決して入らないでね
と言われた部屋だった
師範が襖を開けると、
中は、色々と散らばっていた
散らばっているというよりも
高級そうな箱や壺、
着物が沢山置いてあると言った方が
正しい表現だと思う
入るのに戸惑ってしまうような
部屋だと思った
『そこに座って下さいませ』
ゆっくりと微笑みながら
座ることを勧める
師範が勧めたのは、
青い座布団の上だった
なんの躊躇いもなく、
座布団に座った
師範は、何やら棚から一着の袴を
持ってきて、僕の前に広げる
紺色と黒色の組み合わせの袴だった
袴を見ていると、
どこから出したのか
師範が刀をその袴の隣に置いた
そして、お飾りらしき丸い物を
袴に上に置く
『こちらは、明日来ていく袴です
こちらも同様です
そして最後に、お守りです
どこかにつけて下さいね』
時「ありがとう御座います」
そう言葉にすると、
バサリと僕の体を何かが覆う
正解は師範だった
師範が僕の事を抱き締めている
その事実に辿り着くまで
少し時間がかかった
気づいたら時間が経っていて
いつの間にか肩が生暖かくなっていた
何故か師範が泣いていた
声を漏らさぬよう、
声を殺しながら、一人でそっと
僕もいるから、
一人じゃないけれど
聞くか聞かまいか迷ったけど、
一応聞いておくことにした
時「…師範どうしたの」
『…無一郎くんが死ぬのが怖いのです
死んで欲しくないのです』
いつも大人な師範が
子供っぽくみえた
と言っても、僕と同い年だから
ほんとにまだ子供だけど
時「師範は、泣き虫なの?」
『ふふっそうかも知れません』
クスクスと笑う師範
そっと師範の腰に手を回した
18人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:下倉琉羽 x他1人 | 作成日時:2021年10月10日 11時