運命の灯火,42 ページ42
○。運命の灯火
それから数日経った
あの日、朝起きる時刻を
大幅に遅れた僕は、
帰って着ていた久保さんと千佳さんに
しこたま笑われた
師範も帰っていたようで
遠くから困ったように笑っていた
この日の午後は
師範に相手をしてもらい
しごいてもらった
それが数日続き、
今日に至る
『ねぇ、無一郎くん』
時「…師範?、なに」
縁側で日向ぼっこをしていた
太陽は眩しいなと思いながらも、
ぼんやりと空を眺めていた
あの日から、たまに強制的に
休憩を取らされるから
ぼーっとしている時間が増えた
たまに久保さんが茶化しにきたり
千佳さんがずーっと話かけてきたり、
なんだか騒がしい人達だったと思う
今日はたまたま誰にも合わなくて、
一人でのんびりとしていたら
なんの足音もせずに
師範の声が耳元でした
慌てて振り向くと、
ニコリと微笑む師範がいた
『明日、最終試験が行われるのですけど
行かれますか?』
時「行く」
僕は即答した
何がなんでも行きたいと思った
体がそう言うから、
体にいつまで経っても
分からない、苦しみや哀しみが
まとわりつくから
『そうですか、
では、これから準備致しましょう
付いてきてくださいまし』
時「はい」
僕がそう返事すると、
音もなく立ち上がり
師範は歩き出す
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作者名:下倉琉羽 x他1人 | 作成日時:2021年10月10日 11時