運命の灯火,41 ページ41
◯。運命の灯火
目が覚める
辺りは真っ暗で
朝とは思えないくらいに
静かな朝だった
体を起こそうとすると
重くて起きれなかった
鍛錬を疎かにするわけには
いかなかったから
無理やり体を起こそうとすると
肩をぐっと抑えられる
寝起きの細い目で
誰かをじっと見る
でも暗いからなのか
誰か分からない
『寝なさい、
今日は寝なさい』
優しくそして、
哀しさも含まれた声で囁かれた
その声と共に瞼が
落ちるのが分かった
とても心地よくて不思議な感じがしたのを
よく覚えている
その人の顔は見えないのに
優しく微笑んでくれたように見えた
『一つとや 一夜明ければ
にぎやかで にぎやかで
お飾り立てたる 松飾り 松飾り
二つとや 二葉の松は
色ようて 色ようて…』
何故か懐かしく感じた
この曲をこの声で聞いたことがあった
記憶にはないのに、
心の中でじんわりと懐かしんでいた
懐かしかったけれど、
子守唄じゃ無かったから
この声の人は、どういう気持ちで
歌っているんだろうと思った
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作者名:下倉琉羽 x他1人 | 作成日時:2021年10月10日 11時