運命の灯火,39 ページ39
◯。運命の灯火
菅「…無一郎くんが独りだからかな」
独り？何故？みんなここにいるじゃんか
僕はここに住んでいて、
継子の人達も師範もここにいて、
独りじゃない
僕は首を傾げた
訳がわからなかった
菅「無一郎くん、おしゃべりしよう」
その日のお昼はいつもよりも
賑やかだった
師範と久保さんは任務で居なかったから、
大和さんと千佳さん二人から
ずっと話しかけられていた
菅「往復何回してるの？」
時「分からない程」
菅「ひぇ！こわ、ヤバ」
大「ほんとに無一郎、十二歳なの、」
時「師範も十二だよ」
大「…最近の十二歳って
半端ないな」
午後の鍛錬はサボった
というか、させてくれなかった
大和さんに着替えさせられ、
千佳さんと大和さんに連れ出されて
浅草に行った
初めて浅草という場所に来た
建物がズラーっと並んでいて、
電車という乗り物が街の中を
はしっていた
大「俺あんまり
ここ好きじゃないんだよな」
菅「なんでー！
楽しいじゃない」
千佳さんは
色んなところに連れて行った
僕と大和さんは
千佳さんに連れ回された
小物屋やカフェーという場所、
服屋までよる
どれも女向けであまり面白くなかったけど
楽しかった
多分、これが俗に言う幸せという
やつなんだと思う
気持ちが高揚して、
ウキウキして思わず、口角が少し上がる
なんだか恥ずかしくて、
少し俯いた
大和さんも連れ回されて
ヘトヘトなのに
ずっと仕方なくという、
笑顔でキラキラしてて
なんか楽しそうだった
連れ回された中の一つの店で
僕はこっそりと師範への贈り物を買った
何故か僕にも分からないけど
ここに来れなかった師範が
酷く不憫に思った
こんなに楽しいのに
ここにいない師範が、可哀想だなと思った
ちなみに久保さんは
特に何も思わなくて
何も買ってないことに、帰ってから気づいた
まあ久保さんだから大丈夫だと思う
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作者名：下倉琉羽 x他1人 | 作成日時：2021年10月10日 11時
