検索窓
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:12,123 hit

少し特別な,30 ページ30

◯。少し特別な



警備帰りの朝
少しうとうとしながら帰る
四年間柱をしてきたとはいえ
生活水準を壊すことは
慣れる訳がない

屋敷に戻ると
刀を置き隊服をたたみ
布団をひいた
そのまま死んだように
夢の中へと堕ちていった

気づいたら
どこかの町にいて隣には無一郎くんがいる
綺麗な着物を着ていた



時「ねえ、夜宵
  なに食べたい?」


『ふふっ
 なんでもいいよ』


時「えー決まらないなあ」



ありきたりな夢
でも、自然と笑みがこぼれてくる程
幸せな夢
いつまでも噛み締めていたい
心がほわっと温かくなる

わたくしが想像していた
叶うはずの無い夢
無一郎くんと笑いあって
記憶を取り戻して、名前を呼んでれて
出来れば恋仲に
そんな絶対に叶わない夢

自然と目を覚ます
ぼんやりとする意識の中で
心がギュッと辛くなる感じがする
それが全身に伝わる
でも何故苦しいのかわたくしには分からない

さっきまで幸せな夢を見ていた気がする
そこまでは分かるが
何故こんなにも苦しいのだろう
頭の中に疑問がかけ巡る

するとパン!と襖が開く音がした
そちらの方向を見ると無一郎くんが
隊服を着て立っていた



時「師範、稽古付けてくれないかな?」


『…ふふっ
 お待ちになってね
 今寝起きなの、水浴びさせてくれないかしら』


時「わかった、じゃあ稽古場借りていい?」


『ええ、どうぞ』



そのまま無一郎くんは
スタスタと歩いていった
突然の来訪に驚くも
それを上回る寝起きでの恥ずかしさが
時間差でこみ上げてきた
よくよく考えれば寝間着で
どこか着崩してないか心配になる
今更で、遅いのだけど

無一郎くんが開けた襖から
外に出るとお風呂場へ向かう
ササッと水浴びだけすると
隊服へと着替えた
そして棚を開ける
数日前買っていたお飾りを出した

気に入ってもらえるだろうか
付けてもらえるだろうか
それとも、拒絶されるだろうか
いろんな思いを胸に廊下を歩いた
ちょっど真上に上がった陽光が
とても眩しい

そんなこんなで武道場の前につくと
ちょっとだけ胸が高まる
いつもは何食わぬ顔で
開ける扉が少し今日は特別に見えた

少し特別な,31→←暇の楽しみ方,29



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.1/10 (17 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
18人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 時透無一郎   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:下倉琉羽 x他1人 | 作成日時:2021年10月10日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。