冷酷無情,25 ページ25
◯。冷酷無情
轆「私はまだお役に立てます
もう少しだけ御猶予を頂けるならば
必ずお役に」
旧・下弦の弐:
切羽詰まった勢いで
そう申す下弦の弐轆轤
まるで命乞いをしているようで、
はたまた滑稽であった
無「具体的にどれ程の猶予を?
お前はどのような役に立てる?
今のお前の力で
どれ程のことができる?」
言葉の圧を受けながら、
轆轤は申した
轆「血を……!!
貴方様の血を分けて戴ければ
私は必ず"血に順応"してみせます
より強力な鬼となり戦います」
その回答を聞いた無惨は
病葉の頭をぽいっと床に落とす
ゴロンゴロンと嫌な音をたてて転がった
無「なんだ?
何故貴様の指図で
血を与えねばならんのだ
それに血に順応する鬼などもう居る
貴様になど用はない
甚だ図々しい
身を弁えろ」
轆「……!!
違います
違います
私は」
花「(滑稽な
何が違うというのか)」
無惨の解釈が違っていたように
轆轤はそれを必死に否定する
無惨の言うことは絶対
否を唱えてはいけない
今さっき見たのを忘れたのだろうか
そう思えるほどに、
「違う」と「私は役に立つ」と
必死に訴えかけている
無「黙れ
何も違わない
私は何も間違えない」
無惨は怒った雰囲気を纏っており
雰囲気が一気に重く鳴り出す
否、もとから重い空気が
より一層深く重くまとわり付く
無「全ての決定権は私に有り
私の言うことは絶対である
お前に否定する権利はない
私が"正しい"と言った事が"正しい"のだ
お前は私に指図した
死に値する」
轆轤は理不尽だ
そう思ったかもしれない
だが、そんなことは関係ない
無惨という鬼の前では
理不尽という言葉は踏みにじられる
まさに無意味であった
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作者名:下倉琉羽 x他1人 | 作成日時:2021年10月10日 11時