蝶屋敷,15 ページ15
○。蝶屋敷
胡「でしたら竈門君は
私の屋敷でお預かり致しましょう」
竈「えっ？」
ニコーと満面の笑顔で手を上げる
胡蝶様
胡「はい連れて行ってください！」
すると威勢よく隠の方たちが来られ
竈門くんと箱に入った竈門さんを
背負って
颯爽と抱えて去っていった
耀「では柱合会議を…」
竈「ちょっと待ってください！！」
筈だった
何故か邸宅の柱にしがみつき
ギャーギャーと騒いでいる
まるで脳の無い動物のような彼
みっともないの具現化
そう思った
早くここから去ってほしい
これ以上長くいると
気が滅入ってしまいそう
チクチク、いや
ザクザクと心を突き刺していく
あの真っ直ぐで素直な性格は
昔の自分や今の自分を
捻じ伏せてしまいそうな
輝きを持っていた
綺麗で眩かった
ただただ、辛かった
八つ当たりと言うものだと分かっては要るけれど
あの子をどうも素直に受け入れられない
受け入れたくない
そう心が叫んでいた
自分でも分からない感情が
心を満たしていく
胸の奥をぐるぐると
何かが渦巻いていく
不安？違う
恐怖？いいえ、違う
だった胸が苦しくて、辛くて
物凄く不快だった
すると、誰かに手を握られた
無一郎くんの手だった
彼の手から、彼の温度が伝わる
そばに居てくれるという安心感からか
心に余裕が出来た
彼は繋いでいる手の反対の手で
石を拾い
あの子に投げつけた
竈「ハヴェ！」
時「お館様のお話を遮ったら
駄目だよ
それに師範の気分を害してる」
片手で小石を割ってしまった
お館様のお庭の石でしたのに
隠「もっ申し訳ございません
お館様
月ノ宮様
時透様」
甘「(無一郎君…
やっぱり男の子ね
カッコいいわ)」
時「早く下がってよ、ねぇ」
隠「はひィ
はいィイ！！」
去ったあとぱっと手を離した
まだ繋いでいたい
君に触れていたいという気持ちを
ぐっと堪え柱合会議に集中した
空いた手は少し寂しさを感じさせた
その手をぐっと握り、
いつもの私に戻る
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作者名：下倉琉羽 x他1人 | 作成日時：2021年10月10日 11時
