7話 人生で初めて ページ8
あれから3日くらい経ったけど、特に何も起きていないみたいだ。
ジコチューが出現したとしても俺にできることはないから、大人しく六花の家で家事をする。
だけどその家事をしている時、違和感があった。
(やっぱり、右足首痛いな)
なんだろう。
先日、四葉ターミナルへ急ぐ時もこの足のせいで上手く走れなかった。
心当たりはある。
地球に来た時に、俺は気を失ってそこらへんに倒れていたところを六花が拾ってくれて、応急処置を施してくれた。その時に右足首も痛めていたんだろう。
でもあれから1か月くらい経つんだが……。
六花に相談して診てもらった。
「骨折してるかも。病院に行ってレントゲンを撮ってもらいましょ」
病院に行くと、軽い骨折だった。
(王国でも骨折したことなかった俺が、骨折か……)
とりあえずギプスというものをつけて、家で安静にした。
医者にはあまり外に出るなと言われ、足に負担をかけないようにあまり歩くなと六花に言われた。
「はあああ、暇」
ソファに座ってテレビをつけると、歌姫が出てきた。
「また歌ってんのか」
どこに行っても歌ってるな。
そんなに歌うことが好きなのか。それにしても地球に来てなんでアイドルになったんだろ。
(いつ聞いても綺麗な歌声だな)
なんだか外に出たくなってきた。
ちょっとくらいなら、いいよな。
靴を履こうとしたら、ギプスのせいで履けなかったから、サンダルを借りて外に出た。
右足に負担をかけなきゃいいんだから、歩きにくくはなるけど、なるべく地面につかないよう……。
「A？」
ビクッ！！！
名前を呼ばれてびっくりして後ろを振り向くと、歌姫だった。
「なんだよ、驚かすなよ」
「名前を呼んだだけじゃない。足怪我してるのになんで外にいるの？」
「気分転換」
「駄目。帰らないと」
「六花は今どこいにるんだ？」
「ソリティア。ほら、帰るわよ」
腕をひかれて、抵抗できなかった。
「一人でいるのが寂しいの？」
「……多分」
「！ ふふっ、可愛いとこあるのね」
歌姫の笑顔を見て、胸が苦しくなった。
もう少しで家に着いてしまうのが嫌で、ある提案をした。
「疲れたから、そこの公園に寄りたい」
歌姫は、仕方なさそうな顔をしたけど了承してくれた。
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作者名：ちゃゆ | 作成日時：2022年11月25日 0時
