47話 やっと発見！ ページ48
「この彫刻、王女様にそっくり」
歌姫は俺と同じことを思った。
「王女様？」と不思議に思うレジーナに、ありすと六花は「なんでもない」と誤魔化した。
「いやぁ、素敵な彫刻だね」
この声は、ジョー岡田だ。
いつの間にか俺たちに紛れて一緒に彫刻を見ていた。
「ソリティアのお兄さん！？」
「やぁ、こんにちは」
アイちゃんを抱えていた。
「お兄さん、どうしてここに？」
「最近飾られたこの彫刻に一目惚れしてね」
ああ、王女に似ているからか。
「もしかしたら彫刻の方が僕に一目惚れしたのかも」
あながち間違ってない。
「この彫刻には赤い石が埋められていたんだけど、誰かに取られたのか無くなってしまったんだ」
とったの俺だ。ありすは俺をじっと見ていた。
すると歌姫がジョー岡田に喰いついた。
「まさか、この彫刻のモデルを知ってるんですか？｣
でも「あ〜！もうこんな時間か。これから、大事な商談があってね。アイちゃんをよろしく頼むよ」と逃げられてしまった。
ありゃ絶対知ってるな。
俺は知らないのにあいつは知ってるのが苛立つ。
「その赤い石の在処は、A君が知っていますわ」
ありすはいきなり俺に口を開かせようとした。
「なんでAが？」
みんなの目が俺に向けられた時、ポケットから赤い石を出して手のひらに転がした。
「！ それって、ロイヤルクリスタル？」
マナがぽろっと口を出すと、レジーナが反応してしまった。
「なにそれ？」
「とってもロイヤルなクリスタルってことランスー！」
「あ、嘘ついてる。嘘つきは泥棒の始まりなんだよ」
ことわざは知ってるのか。
でも、俺も知らなかった。
「これが、ロイヤルクリスタル」
王家がもつ伝説の宝石。
クリスタルは全部で５個あってすべて揃うと凄いことが起きるらしい。何が起きるかは聞いたことない。
「てっきりラビーズかと」
「だから先日、ラビーズについてお聞きになられたんですね」
マナはレジーナに説明した。
「ロイヤルクリスタルは私たちが探しているとっても大切なものなの」
「だったらあたしがプレゼントしてあげるよ」
「え？」
レジーナは俺の手からクリスタルを奪おうとしたから、奪われないようにしっかり手に握った。
「何するのよ！」
「こっちのセリフだ。お前に渡すわけないだろ」
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作者名：ちゃゆ | 作成日時：2022年11月25日 0時
