43話 目が合わない ページ44
おじさんはなぜか俺と一緒に謝ったあと、自分の仕事に向かった。
いい人だとは思うけど、勘違いがすぎる。
「一体どういうことか説明して」
ダビィは少し怒っていた。
しっかり説明すると顔が和らいだけど、歌姫は一向に俺と目を合わせなかった。
「もうすぐCM撮影が始まるんだけど……、あっ、同席する？」
「暇だからそうしようかな」
「ちょっと、ダビィ」
「いいじゃない。せっかくだし」
ダビィが来れない代わりの手伝いという役回りで撮影場所に入った。
もちろん、ダビィはコンパクトになって俺の手元にいる。
エースティという飲料のCM撮影らしく、余ってる1本をもらって飲んでみると美味しかった。
「真琴がマナと喧嘩したビィ」
「……めずらし」
レジーナをかばうマナが許せなくて、それ以来口も聞いてないという。
まあ、俺の顔もビンタするくらいだから相当嫌なんだろ。
撮影が終わると、歌姫は俺の隣の椅子に座った。
「マナからの連絡はないビィ」
「そんなこと聞いてないでしょ」
……こいつ、まだ俺と目を合わせない気か。
「まこぴー！」
急に聞こえた声の主は、六花とありすだった。
「あら？ A君、どうしてここに……」
「色々あってな」
「二人ともどうしたの？」
「はい、差し入れ。マナ特製のオムライスだよ」
「……どうして作った本人は来ないの？」
「それは……」
二人とも答えにくそうだった。
何があったのか、こっそりランスとラケルに聞くと、マナはレジーナに気に入られたみたいで今は一緒に遊んでるらしい。
「仲良いんだな」
「あはは……。ってA！ 昨日は大丈夫だったの？」
あ、そうだ。
立花にも心配させていたんだった。
「大丈夫。疲れてただけだ」
「ほんとにそれだけ？」
「……うん」/
顔が近い。
「んー、Aっていつも言ってくれないなぁ……」
「痴話喧嘩はやめるケル！」
「痴話喧嘩じゃないわよ！」
「痴話喧嘩ってなんだ？」
「異性間の恋愛に関する喧嘩ですわ。例えば、恋人同士の喧嘩が痴話喧嘩にあたります」
そんな言葉あんのか。
「みーっけ！！」
「レジーナ！？」
今度はレジーナがやってきて、ダンボールに入ってる缶をジコチューにした。
「マナの友達は私だけでいいの！
あなた達、邪魔だから消えちゃって」
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作者名：ちゃゆ | 作成日時：2022年11月25日 0時
