42話 妙に気まずい ページ43
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「A君。おはようございます」
食事の部屋に行くと、ありすが出迎えてくれた。
でも心配そうな顔をして俺を見ていた。
昨日、俺がありすたちを無視して部屋にとじこもったせいだな。
「おはよう」
「昨日は大丈夫でしたか？」
「ああ。怪我も、もう痛くないから」
レジーナにやられたことを話すとすぐに処置してくれた。
「怪我以外に、何か辛いことがあったのでは？」
「ないよ。本当に疲れてただけだ」
ありすは妙に鋭い。
「湿布、ありがとう」
「とんでもないですわ。午後にソリティアで待ち合わせしているのですが、来ませんか？」
「んー今日はいい。
そうだ、1個聞きたいんだけど。ラビーズって全部で何個あるんだ？」
「今は真琴さんを入れて4つですわ。こういう形をしたものです」
ラビーズを見せてくれた。
けど、俺の知ってるラビーズと違った。
前に美術館で見つけた真っ赤なラビーズのようにそれぞれの色があるものだと思ってたのに。
「これがラビーズ？」
「はい」
「……そうか。ありがとう」
じゃあ俺が見つけたものは、ただの真っ赤な石ころ？
__午後、赤い石を手に俺は散歩をした。
「ただの石ころならいらねーじゃん。
……(でも、なんか捨てにくい)」
とりあえず持ち歩くことにした。
俺が向かった先は、四葉撮影所だ。
なんとなくもう一度見てみたくなって寄ったはいいけど、関係者以外立ち入り禁止だから入れない。
「あれ？この前の新人君じゃないか｣
俺に声をかけた人物はおじさんだった。
そういえば撮影所内で迷子になった時この人に道を尋ねたな。
「今日もまこぴーの手伝いか。ご苦労さん」
「！ 中にいるんですか？」
「ああ、さっき制服姿で入っていくのを見かけたよ」
「そうなんですね」
「ほら、早くしないとまた遅刻するぞ」
「え？ あっ」
おじさんに背中を押されて撮影所内に入ってしまった。
「ほれ、ここがまこぴーの楽屋だ」
「あ、ありがとうございます」
「なんだ？ 遅刻してるから気まずいのか？ それなら隣にいてやろう」
「へ？」
おじさんは歌姫の楽屋のドアを開けてしまった。
するとダビィが鋭い目でこっちを見たと思ったら、俺がいることに気づいて目を丸くした。
「どうしてここに……」
そのそばには、椅子に座っている歌姫がいた。
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作者名：ちゃゆ | 作成日時：2022年11月25日 0時
